アダルトコンテンツが盛んに共有されているSNSのOnlyFansが、InstagramやFacebookの運営会社であるMetaの従業員に賄賂を送り、OnlyFans以外のプラットフォームで活動する2万人以上のアダルトコンテンツのクリエイターを「テロの監視リスト」に登録させていたとして、クリエイターや競合プラットフォームから集団訴訟を起こされました。

2020年以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで多くの人々が自宅で長時間過ごすようになったことで、オンラインのアダルトコンテンツ共有プラットフォームが急成長しました。中でも成長が著しかったのがOnlyFansであり、2022年の純利益は2020年の5倍に達するとも予測されています。

OnlyFansが成長するにつれて、その他のプラットフォームで活動するアダルトコンテンツのクリエイターからは、「FacebookやInstagramは自分たちのコンテンツを積極的にブロックしているが、OnlyFansで共有されるコンテンツはそれほど熱心にブロックしていない」という不満の声も上がるようになったとのこと。この件についてクリエイターや競合プラットフォームが調査を進めた結果、OnlyFansがMetaと共謀して「テロの監視リスト」を悪用し、競合プラットフォームのクリエイターが作成したコンテンツをSNSから排除していた可能性が浮上したそうです。

そして2022年、アダルトコンテンツのクリエイターやOnlyFansの競合プラットフォームが、OnlyFansとMetaを相手に集団訴訟を起こしました。訴訟によると、OnlyFans以外のプラットフォームでアダルトコンテンツを販売したクリエイターは、Instagramアカウントが「テロリストに関連するコンテンツが含まれている」と誤ってタグ付けされ、ビジネスを宣伝する能力を失い、収入が大幅に減少してしまったとのこと。

OnlyFansが自らの優位性を確立するために悪用したとされているのが、2017年にFacebook・Microsoft・Twitter・YouTubeによって設立されたGlobal Internet Forum to Counter Terrorism(テロリズムに対抗するためのグローバル・インターネット・フォーラム/GIFCT)です。GIFCTはテロリストに関連する動画や画像のハッシュをデータベース化し、各プラットフォームと共有することで、テロ関連コンテンツの拡散抑止に役立てるというもの。参加しているプラットフォームのいずれかが、ユーザーによって投稿された画像や動画に「テロ関連のコンテンツ」とフラグを立てると、ハッシュがその他のプラットフォームにも共有される仕組みとなっています。

ところがOnlyFansの親会社であるFenix Internationalは2018年、Metaの上級幹部に香港の子会社経由で賄賂を送り、競合プラットフォームのクリエイターがInstagramに投稿したコンテンツに誤ったフラグを立てさせ、GIFCTのリストに登録させたと原告は主張しています。一度GIFCTに登録されてしまえば、TwitterやYouTubeといったプラットフォームでもコンテンツが禁止される可能性が大幅に高まります。

もちろん、これらのクリエイターはテロとは何の関係もありませんでしたが、コンテンツ削除やアカウント停止によってクリエイターの宣伝能力および収入は低下し、競合プラットフォームのトラフィックも急激に減少してしまったとのこと。アダルトコンテンツのクリエイターで原告の1人であるアラナ・エヴァンス氏は、「私のコンテンツがテロ監視リストに載っているかもしれないと聞いた時は憤慨しました」と述べました。

https://gigazine.net/news/20220812-onlyfans-bribed-meta-pornstars-terror-watchlist/