https://news.yahoo.co.jp/articles/799e89b6bebb9ace5a8605240a17d181c40f20ad

アメリカ労働統計局のデータでは、2020年2月から5月までの間に約30万人の先生が仕事を辞めました。
フロリダ州では8000人の先生が足りず、テキサス州では一部地域で学校を週4日制に変更する事態にも。
子供たちが他の授業に割り振られたり、事務職員がクラスをカバーするケースも出ています。

ポイントはこちら!「安月給と世間の批判に先生も辛いよ」

この背景には様々な要因が挙げられています。
1つ目として、新型コロナウイルスのパンデミックによって、オンライン授業だった生徒たちが教室での授業に復帰し、学校でのトラブルが増加していることです。
日本でも「学級崩壊」などと言われて問題視されているような状況が、アメリカの教室でも起きていて、生徒がスタッフを殴ったり、先生を脅したりするケースもあります。
また、各地の学校で起きる銃撃事件なども要因です。

2つ目には、「教育の難しさ」にあります。
トランプ政権以降、アメリカの分断は顕著になっているといわれていますが、人種やアメリカの歴史、性的志向などについて、どう教えるかは大きな政治的な議論を巻き起こしています。
保護者からも強い要望がある中で、先生達は自らの発言やカリキュラムの作成に疲弊し、退職を選んでいるというもの。

3つ目としては、待遇面での不満です。
先生は、大学院まで出た高学歴の人間も多くいるため、生徒の問題や保護者との軋轢などに直面する今の仕事よりも、ほかの仕事の方が割が良いと感じてしまい、退職するケースが出ています。実際に、こうした先生を狙ったスカウトサービスもあるといいます。

さらに退職の連鎖も問題視されています。1人の教師が辞めることで、ほかの教師に負担が集中し、さらに新たな退職者を生み出している現状もあるといいます。
また、正規の先生が辞めた場合の、短期間の代替要員としての先生も集まらないといいます。
こちらも、給与や保険、休暇などの問題がネックになっています。

学校や教育委員会は対策として、採用イベントやウェブサイト・SNSに広告を出して先生を募集しているほか、ネバダ州では教師の初任給を引き上げ、遠隔地から移動してきた新しい教師には4,000ドル(約53万円)の「転勤ボーナス」を支給する予定だということです。

また、上記の代用教員の基準を下げる地域も出てきています。
例えば、カンザス州では、高校卒業資格を持つ18歳であれば、誰でも代用教員になることができるほか、親や州兵にさえも代役を頼むなど必死です。