薄毛の悩み男女で違い、男性は「いじってもいい」世間の風潮? 「どんどん心をえぐられる」心を病む人も…(オリコン)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f27bfba9b822135ecc1ca152fbee25df0839a645

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――やまもとさんのところには、男女問わず薄毛の相談が寄せられるそうですね。男女の悩みはどんな違いがありますか。

【やまもとさん】SNSを見る限り、女性は仲間同士で内側に寄り添っており、男性は個人が外側に発信している印象です。女性の場合、他者からの評価よりも「なりたい自分ではない」と、自己評価を低くされる方が多いです。また最近では、女性の薄毛が可視化されてきたせいか、薄くないのに自分は薄毛だと思っている方がかなり増えてきました。

一方で男性は、個性やポジティブなものとして提唱したり、クリニックや治療法の問題を啓発したり、外見を揶揄されることに反発したりと、社会を動かそうとする傾向があるように感じます。他者評価(モテ)を意識される方も多く、負の要素を逆手に取って自分をコンテンツ化するなど見せ方を工夫されています。私に相談を寄せられる男性の方は、そのように声を上げることができない方です。

――男性から具体的に、どのような相談が寄せられましたか?

【やまもとさん】人からどう見られているか、不安に駆られている人が多くて、ウイッグを買ってみたけど違和感がないか写真を見てください、という方もいました。あと、職場でハラスメントにあって、鬱になって休職したという人も少なくありません。

――薄毛をからかわれて…ということですよね。

【やまもとさん】薄毛男性の社会的認知度が高いこともあってか、「男性に対しては薄毛をいじってもいい」と思っている人が多いからだと思います。からかいに屈したり、気にしたりするのは “男らしくない”という考えからなのか、「男なんだから笑いに変えなきゃダメだぞ」みたいな感じで…。関係性の問題もあるのでそれを享受している人もいますが、ハラスメントとなって、心を病んでしまう人がすごく多いんです。男性からのご相談は実害があるものばかりでえげつないです。

――男性の“ハゲいじり”は多く見かけます。

【やまもとさん】今は減ったかもしれませんが、漫画を描き始めた2010年代は、テレビでも髪の毛がないことを笑いに変えるネタが多かった印象です。たとえコミュニケーションとしての「ハゲネタ」だったり、子どもの些細なからかいであったりしても、笑えない当事者にとってはそれらが積み重なって、心をえぐられると思います。そもそも薄毛は昭和の養毛剤ブームから、中年男性がなるものとされていました。それは恥であり、治すものとされていたのですが、そんな偏見を武器にしたカルチャーやお笑いが醸成されてきたと思います。

薄毛の病名は、ホルモンなどの影響による壮年性脱毛症が多く知られています。しかし実際は、膠原病や、自己免疫疾患など身体的な病による脱毛症、精神的な病による脱毛症、生まれつき髪が細く量が少ない乏毛症、生活習慣など複合要因による脱毛症など様々です。薄毛になるのに、年齢や性別は全く関係がありません。そうしたことも知ってもらいたくて、漫画はもちろん、イベントなど、薄毛にまつわる自分の活動においては、積極的に声を上げてきました。

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