旧統一教会に限らず、モラルや法に反する団体でも、政治家に票と運動員を提供することでお目こぼしを受けて繁栄し続けることができる。政党のトップに立つ者は、配下の議員たちとそれら団体の関係を取り持つことで権力を維持し、自分の政策を実現していける。

そしてここには、韓国への辛めの対応を主張する自民党の議員たちが、ほかならぬ韓国で発祥した旧統一教会の支援を受け、教団は日本人から資金を巻き上げるというねじれた構造も垣間見える。この構造のしわ寄せで家庭を破壊された者が、構造の頂点に立つ政治家を殺す。

ここでは山上も安倍元首相も体制の被害者に見える。安倍氏は私益のためというより、以前から続く利権構造の中で振られた役割を、清濁併せのむことで果たしていただけなのだから。銃撃事件はギリシャ悲劇のように、大きな運命にもてあそばれて滅んでいく人間たちの物語なのだ。

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