「Excel(エクセル)の大会」がアメリカのスポーツ専門チャンネル「ESPN」で放映されたことが話題になっている。



Microsoft Excelを使い、財務モデリングの構築スキルなどを競うExcelの大会は、「eスポーツのひとつ」として、数年前から少しずつ話題になっていた。

特に2020年からは、Excelを知り尽くした猛者たちが各国から集結し、そのナンバーワンを決める世界大会「財務モデリング ワールドカップ(FMWC:Financial Modeling World Cup)」が毎年開催されており、さらなる盛り上がりをみせている。

そんななか、今年5月に開催された「FMWC オールスター・バトル」のリプレイが、スポーツ専門チャンネル「ESPN」で放映されたことで、新たなファンを獲得したと報じられている。

放映された「FMWC オールスター・バトル」は、過去の世界大会で上位に入賞した8名のサイバー・アスリートが集結し、Excelを使ってさまざまな種類のゲームの作成や問題解決に挑戦するものだ。

ラウンド1では複雑な得点システムを備えたスロットマシン・ゲームの作成を行い、ラウンド2では、複雑な風速と方向のシミュレーションを伴うヨットレース・ゲームの作成に取り組む。また、ラウンド3の課題は、プラットフォーム・ゲーム(キャラクターをジャンプさせて足場から足場に跳び移ったり、障害物を跳び越えたりして進む2Dゲーム)の作成で、ここでは異なるレベルの6つのステージを含むことが課題となった。

各ラウンドの制限時間は30分。ラウンドごとにタスクをこなせなかったアスリートが次々と脱落していくなか、最後まで残った人が勝者となる。

日頃からExcelを使っていても、「eスポーツとしてのExcel」に馴染みのない人たちは、課題となったこれらのすべてのゲームが、Excelのスプレッドシートで作成されていることにまず驚かされる。

また、Excelが高度な分析ツールであることをそれなりに理解している人たちでも、サイバー・アスリートたちが具体的に何をどう行なっているのかを理解するのは困難だと、パソコンゲーム専門誌「PCゲーマー」は述べている。


盛り上げる実況も

そんな難解な試合を盛り上げているのがeスポーツキャスターで、今回、実況を務めたのは、「ミスターExcel」の名で知られる多数のExcel本の著者であるビル・ジェレンと、ユーチューブチャンネル「Excel On Fire」で知られるオズ・ドゥ・ソレイユのふたりだった。

彼らの実況や解説、アスリートへのインタビュー、トーナメント後の分析がなければ、他の人気eスポーツに匹敵するほどの熱気は生み出せなかっただろうとの声も多く、彼らの実況・解説こそが、難解な「eスポーツとしてのExcel」をアクセシブルなものにしているとも評価されている。

実況のジェレンは、試合の終盤でこう述べている。

「もし20年前に、Excelの大会を何十万人という人たちとみんなで観戦する日が来るなんて言われても、信じられなかっただろう」

「だが、各々のサイバーアスリートたちが、問題を解決するために実にさまざまな方法を編み出し、迅速に対応していくのを観るのは、とてもスリリングで面白い。なにより、観戦して学んだ数式やロジックを、普段のビジネス上での問題解決にも使えるっていうのもいいね」

ちなみに、同バトルの勝者はオーストラリアのコンサルティング会社でディレクターを務めているアンドリュー・ナガイ。同氏は賞金1万ドル(約130万円)と、次の世界大会へのシード権を獲得したと報じられている。

世界大会は今年の10月から開催予定となっている。我こそはというExcelに自身のある方は、ぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c908f860b3ab0c05e5893916e6868e3ef58e9b7f