https://news.yahoo.co.jp/articles/46511ac552f2cfff301733f19b398110aec5945e

 フランス人のクリスチャン・グラベル氏は、最近の日本での旧統一協会(世界平和統一家庭連合)に関する話を聞いた時、40年前にフランスで起きた事件を思い出した。「カルトの危険性がフランス国民に初めて広く知れ渡ったのは、統一教会がきっかけだった」(グラベル氏)からだ。

 グラベル氏はフランス警察庁で、官僚60人からなる「犯罪・過激化・セクト的逸脱行為の防止に関する省庁間委員会(CIPDR)」を率いている。同氏はまた、カルト的逸脱行為を担当する内部部局である「カルト的逸脱行為関係省庁警戒対策本部(MIVILUDES)」のトップでもある。つまり、この問題に関してはフランス政府内の最重要人物だ。

中略

 フランスの制度は過去40年間、個人の自由を尊重しつつ、カルトによる犯罪行為や反社会的行為を防止・処罰しようと試みてきた。1995年には、国会委員会が173のカルトを掲載したリストを公表したが、これは後に差別的だとして廃止された。

 「カルトが信者を勧誘するのは自由だ。エイリアンが世界を支配するという話を信じたければ信じても構わない。しかし、カルトはその行動によって社会悪や個人への損害を生み出すべきではない。だから今のフランスはマインドコントロールを罰することに集中している」(グラベル氏)

 各カルトに関しては、MIVILUDESが調査したうえでその危険性を評価している。それは、「精神の不安定化」「法外な金銭的要求」「従来の環境からの断絶」「身体的完全性に対する攻撃」「子供の勧誘」「反社会的言説」「公序良俗の撹乱」「重大な法的紛争」「通常の経済回路からの逸脱」「公権力への侵入の企て」という10の項目を基準に行われている。

 「カルトはどこから問題となり始めるのか? これは非常にデリケートな問いだ」とグラベル氏は言う。MIVILUDESは、教授や警官、およびカルトの標的になり得る人々と接するすべての人に対する教育も行っている。