「映画見たい」→「パソコン修理代」電子マネーの使い道、揺れる説明 コンビニ店長が詐欺見抜く

客が特殊詐欺の被害に遭うのを防いだとして兵庫県警三田署は、ローソン三田西相野店(三田市西相野)に署長感謝状を贈った。
つつじが丘地区の玄関口に位置する同店。常連客にはお年寄りも多く、日頃から大切にしてきたコミュニケーションが危機を食い止めた。(喜田美咲)

■気がかりな振る舞い
8月6日午後4時半。近くに住む女性(85)が店にやって来た。「あまり見かけない人だな」。レジではアルバイト店員が対応していたが、長谷川直哉店長(29)は女性の様子が気になった。
手にメモ用紙を持ち、どこか焦っているように見えた。店員には「プリペイドカード1万円分が必要」と話していた。長谷川さんが声をかけ、紙を確認。電子マネーカードの商品名と電話番号のような数字が書いてあった。
用途を尋ねると、最初は「これで映画を見たい」と話していたが、「パソコンが壊れて、払わないと直らないと言われた」と説明が変わっていったという。
おかしい。「詐欺ではないですか」。長谷川さんがそう言っても女性は納得がいかないようだったが「払うことでパソコンが直ることはないと思います」と伝え、
三田署の電話番号を書いて手渡した。「電話で確認してみてからでも修理は間に合うと思います」

■受け答えまで指示
女性は購入をやめ、店を出た約10分後には「店員に詐欺かもと言われたので」と同署に電話したという。
同署によると、パソコン画面に故障を警告する表示が出たため、そこに書かれていた番号に電話。片言の日本語を話す相手からコンビニでプリペイドカードを購入するように言われ、
その際店員に理由を聞かれたら「映画を見たい」と答えるよう指示を受けていたようだ。プリペイドカードだと、「うまく支払いができなかった。あとで返金する」などと言って、
何度も購入させる手口があるが、幸い女性は他の被害にも遭っていなかった。
後日、女性は息子とともに同店へ礼を伝えに訪れた。長谷川さんにとって女性は自身の祖母とも年が近いといい
「止められてよかった。これからも継続して注意をしていきたい」とほっとした表情を見せた。

https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/202209/0015626911.shtml