「過去の成功体験すべて忘れ、十分な対策を」…国葬に即位礼・五輪並み「最高警備本部」

国内外から多くの要人が参列する安倍晋三・元首相の国葬(国葬儀)に向け、東京都内で警備が強化されている。警視庁は国葬当日の27日に大石吉彦警視総監を長とする「最高警備本部」を設置し、最大級の態勢で警戒を行う。

「過去の成功体験はすべて忘れ、十分な対策を講じてほしい」。先月下旬、警視庁内部の会議で大石警視総監はそう述べ、国葬警備に万全を期すよう担当幹部らに強く指示した。

安倍氏が演説中に銃撃されて死亡した事件では、警察庁が先月、要人警護の全面的な見直しを行った。国葬は見直し後、最初の国家的行事で、警察当局は「失敗は許されない」(警察幹部)と位置付ける。

 国葬は27日午後、東京・日本武道館で行われ、約4300人が参列する見通しだ。このうち海外からは、22日時点で218の国・地域などの首脳級を含む約700人が参列する。

 警視庁は既に、全国の警察から警察官の応援派遣を受け、警備態勢を強化している。応援要員のうち約400人は要人を守る警護員で、警視庁の警護員(SP)と合同で国葬本番に向け訓練を重ねている。

 要人ごとに、テロの標的となる危険度を判断し、警護計画を策定する。武道館では参列者の身元確認を徹底するほか、入り口に金属探知機を設置し、銃器などによる襲撃も防ぐ。

 不特定の人が集まる「ソフトターゲット」を狙ったテロに備え、都内の主要駅や羽田空港では、不審物の捜索などを続けている。組織に属さない「ローンウルフ(一匹オオカミ)」型の事件を念頭に、SNSに不審な投稿がないかなどを調べるサイバーパトロールも強化している。

 警視庁が国葬当日に設置する最高警備本部は、天皇陛下が即位を宣言された2019年の「即位礼 正殿せいでん の儀」や、21年の東京五輪の開会式などで設置された。警視庁として、最大級の警備態勢となる。

 当日は、テロリストなどを銃で制圧する「緊急時対応部隊」(ERT)も武道館周辺に配置する。安倍氏の遺骨を載せた車が通過する沿道では、制服警察官らが警戒にあたる。会場近くの公園に設けられる一般向けの献花台の周辺では手荷物検査も実施する。

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