自動車の運転記録を提出しなかったことを理由に三重県鈴鹿市が生活保護の支給を停止したのは違法だとして、身体障害のある市内の女性(80)と難病患者の次男(54)が市に対し、停止処分の取り消しと百十万円の損害賠償を求める訴訟を六日、津地裁に起こした。
 訴状によると、女性は二〇一九年から生活保護を受給。次男が所有していた車の使用許可を求めたところ、市は昨年七月、次男の通院時に限って使用を認め、運転経路や用件などを書いた「運転記録票」を提出する条件を設けた。女性はぼうこうがんを患い、次男は難病の影響で歩行につえを使うなど長距離を歩くことが難しい。
 市は、女性が買い物などに車を使い、運転記録票も提出しなかったことから文書で指導。その後も指導に従わなかったことを理由に九月二十七日、生活保護支給を停止した。
 親子は提訴後、津市内で記者会見し、次男は「運転記録は走行メーターまで確認され、絶えず日常生活を見張られている感じがした。人権侵害ではないか」と訴えた。

 市保護課の野呂和伸課長は「訴状が届いていないので内容を精査するまでコメントできない」と話した。

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