ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、北方領土を事実上管轄するサハリン州で、じわりと「戦時体制」が広がってきた。リマレンコ州知事の号令で小型の軍用無人機(ドローン)の生産が始まり、年末年始の祝賀行事の縮小も決定。これに対しウクライナ政府がサハリンの主要企業に制裁を科すなど、戦地から遠く離れた地も侵攻と無縁でいられなくなっている。
地元メディアなどによると、ドローンの生産はリマレンコ氏の指示で始まった。小型の偵察用とみられ、戦地ではロシア軍が活用しているとされる。州政府は年内に100台、来年以降に月300台を生産する計画だ。
州政府などは、年末年始に州都中心部などで開く恒例の祭りや花火もとりやめた。地元メディアに対し、捻出した予算を「軍人が十分な装備と訓練を受け、愛する人らを心配しなくてもいいようにする」と説明。リマレンコ氏の発案で、子供や賛同者が動員兵に励ましの手紙や編み物、車両などを送る独自の支援プロジェクトも始め、10トン以上を送ったという。
プーチン大統領は9月の部分動員令に続き、10月には併合を宣言したウクライナ東・南部4州に戒厳令を敷き、ロシア全土に段階別の「警戒態勢」を導入した。ウクライナから1万キロ近く離れたサハリン州は生活に制限のない最も低いレベルの警戒態勢だが、リマレンコ氏は州トップとしての実績を、政権にアピールする狙いがあるとみられる。
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