世界の市場にとって悪夢のような1年となった今年、ウォール街のクオンツ投資家は夢のようなリターンを上げている。

  インフレをきっかけとする市場混乱で、人間が運用する株式や債券のファンドが打撃を受ける中、AQRキャピタル・マネジメントやマン・グループ、アスペクト・キャピタルといった、数学的手法を駆使するクオンツヘッジファンドは好調だ。

  マクロ要因によるボラティリティーは強力な一方向の価格トレンドにつながっている一方で、新たな勝ち組や負け組に加え、企業や資産間でのパフォーマンスの格差拡大を生み出しており、クオンツ投資家にとって理想的な状況をもたらしている。

  AQRの「アブソルート・リターン・ストラテジー」は年初から11月までのリターンが40.9%と、今年は過去最高の成績となる見通しだ。事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。マンの「AHLアルファ(運用資産116億ドル=約1兆5900億円)」のリターンは11月までの時点で10.7%。アスペクトの「ダイバーシファイド」ファンドは12月7日までで37.9%となっている。

  全体としては、SG・CTA指数が今年は2000年のデータ開始以来の好調となる勢いのほか、通常のファクターポートフォリオを対象とするブルームバーグの指数は年間ベースで少なくとも2008年以来の好成績なる見通し。

  コンピューターを駆使したポートフォリオが存在の危機にひんした低ボラティリティーの強気相場とは、まるで別世界だ。

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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-16/RMZIWVT0G1KX01