岸田文雄首相が6月にドイツ南部のエルマウ城で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)などの出席のための欧州訪問に合わせ、
ロシアの侵攻が続くウクライナの首都・キーウを訪問し、同国のゼレンスキー大統領との会談を検討していたことが分かった。
首相も意欲を示したが、日程の調整がつかず断念した。複数の政府関係者が明らかにした。
首相は6月26~28日のG7サミットに出席した後、29日に日本の首相として初めて北大西洋条約機構(NATO)首脳会議への参加のため、スペイン・マドリードを訪れた。
この日程に合わせ、隣国のポーランドを経由し、陸路でキーウを目指す案を水面下で検討したという。しかし、他の外交日程との両立ができず、最終的に断念した。
その後も、政権内ではたびたび首相のキーウ訪問が持ち上がった。
だが、ロシア軍のキーウに対するミサイルや自爆型ドローンによる攻撃が激しさを増していることなどが影響し、実現には至っていない。
首相は10月7日の参院本会議で「ウクライナ訪問については諸般の事情を踏まえ、適切に対応する」と述べるにとどめた。