80万円払った男性「大金は一体どこに」…技能実習生の高額負担、日本側へのリベートにも

30年前に始まった外国人技能実習制度で、長年問題視されていた実習生の借金問題について、政府が2023年度に現地調査を行うことを決めた。各国の送り出し機関が徴収する費用の実態は不透明で、一部が日本側にリベートとして流れているとの指摘もある。

「多額の借金をさせられ、本当に返せるのか不安だった」。19年夏に技能実習生として来日したベトナム人のカ・チャン・ホン・フィさん(27)はこう振り返る。

ベトナムの地方都市でトラック運転手を務めていたフィさんは19年春、日本で働くため親族の紹介でブローカーの男と会い、「送り出し機関に渡す」と約80万円を要求された。

当時の月給は3万5000円。貯金などを取り崩して約20万円をかき集め、残りの約60万円は叔父の土地を担保に銀行から借金した。領収書もなく、費用の内訳も知らされなかった。

来日後、山梨県の建設工事会社でコンクリートを流し込む重労働を強いられた。18万円と聞いていた月収は、手取りで8万~9万円。違法残業や実習生へのパワハラも横行し、「このままでは借金が返せない」と、1年後に逃げ出した。

実習生を支援するNPOに身を寄せ、ラーメン屋でアルバイトし、21年夏に帰国した。借金は今も約10万円残る。フィさんは「支払った大金は一体どこに消えたのか」と唇をかむ。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20221231-OYT1T50223/