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梅毒治療に朗報!新薬ステルイズ登場で早期なら1回治療も

2013年を機に爆発的に増え始め、1000人を突破。そのまま感染拡大は収まらず、年内1万人超えもありえる異常事態となっている梅毒の感染率。
「ただの性感染症だし、放っておけば大丈夫」なんて思っている方は要注意。梅毒は最悪の場合、死亡してしまう怖い病気です。
治療をしないまま、三か月以上放置すると、梅毒は進行し、菌が血液によって全身をめぐります。その後、感染から数年で、皮膚、骨、筋肉、臓器につぎつぎに腫瘍が発生するのです……。
しかし、江戸時代には不治の病とされていた梅毒も、今の医療技術を使えば、怖くない病気になりつつあります。今回は、早期発見ならたった1回の処置で梅毒が完治する薬の説明です。

〇梅毒治療薬・ステルイズって?
ファイザー株式会社が発売しているのが、「ステルイズ®水性懸濁筋注60万単位シリンジ/240万単位シリンジ」(一般名:ベンジルペニシリンベンザチン水和物)。本剤は、梅毒の治療薬として作られた持続性ペニシリン製剤です。
2010年以降、梅毒患者が爆発的に増えたことから、早期に治る薬の開発が続けられてきました。
ステルイズは早期の梅毒患者に対して1回筋肉注射しただけで治療効果が期待できること、治療失敗がほとんどないこと、これまで海外で梅毒患者の治療に貢献した実績があること等をふまえ、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬」として日本感染症教育研究会から要望され、厚生労働省がファイザー社に薬を開発するように働きかけました。その後、試験を続け、公表論文や海外添付文書等に基づいて製造販売承認申請を行い、「梅毒トレポネーマ」の薬として認知されることになったのです。

〇これまでの治療との違い
これまでの梅毒の治療法は、ペニシリン系抗菌薬の飲み薬(アモキシシリンなど)での治療が一般的でした。飲み薬は1日3回、しかも完治まで2週間~1ヶ月くらい飲み続けばければならず、「けっこうめんどくさい」と思う人も多かったようです。また、症状が重い場合は、入院で点滴2週間です。
対して、ステルイズは、ベンジルペニシリンとして240万単位を単回、筋肉内に注射する、というもの。
つまり、一度の筋肉注射で治療できるというわけなんです。
世界では外来で1回筋肉注射するだけで治療できるのに、日本では最悪入院までしなければならないのです。このような日本の治療状況も、梅毒の増加に関連しているかもしれません。1日3回、多い錠数の薬を2週間飲み続けるのは、意外と大変ですよね。