タヌキはなぜ凶暴?ペットとして飼えない理由

なぜたぬきはペットとして飼えないのでしょうか。子ダヌキのかわいらしさは、子犬と間違えるほどです。

イヌ科ではありますが、種として非常に臆病な性格。人に懐きにくくその上、凶暴なのです。

なぜタヌキは凶暴なのでしょうか。

タヌキは野生動物です。野生鳥獣は、厳しい自然の中、自分で狩りをし、餌を探して生活しています。自然界は、食物連鎖のバランスで成り立っています。
そのバランスを壊さないために、野生鳥獣は鳥獣保護管理法により、特別な場合を除き、飼育、捕獲が禁止されています。
野生のタヌキを見かけても、けがをしたり衰弱している様子がなければ、人が保護したり、餌を与える必要はありません。

人はむやみに野生鳥獣に近づかないことです。肉食動物ならば、生きていくために必死で獲物を捕らえます。
そんな彼らにかわいいというだけの好奇心から近づいてはいけないのです。

タヌキは警戒心が強く、そしてとても臆病な性格です。だから、人間から何かされるのではないかと、必死で身を守ろうとします。

そのため「凶暴」となってしまうのです。

では、タヌキの自然界においての役割について注目してみましょう。日本にはもともと、ライオンやトラなどの大型の肉食獣はいませんでした。
それは、獲物となる大型の草食動物がたくさんいなかったためです。日本の地形は、島国で山が多く、雨が多い森の国なので、大型の草食動物がすむのに適した広い草原がなかったからです。

タヌキやキツネ、イタチやテンなどは、小さな体で日本の自然にうまく適応し、今日まで生き残ってきた肉食獣です。大型草食動物であるシカやカモシカを狩る動物といえば、ニホンオオカミだったのですが、今ではもういません。
外国から持ち込まれた犬についてきたウイルスが原因で、ニホンオオカミは絶滅したといわれています。

タヌキは、キツネのように素速く走ることはできないため、自分たちより大きな動物を狩ることはできませんが、その動物が弱っていて、抵抗されないとわかれば、夫婦で協力し狩ることもします。
また、キツネなどが食べ残した、腐りかけた死がいも積極的に食べます。

タヌキは、おなかが丈夫にできているので、ある程度腐敗のすすんだ肉までも食べられます。
自然界において、亡くなった動物たちの体は、ウジ虫や土壌にすむ小さな生き物が食べたり、カビなどの菌類が腐らせることでやがて土にかえっていきます。

しかし、多くの野生動物が最期を迎える冬場は、それらの生き物の活動がにぶくなります。
雪におおわれて腐りにくいのです。タヌキたちが食べずにいると、暖かくなる春まで分解されずにほおっておかれます。
春になると一気に腐り、健康をおびやかす病原菌が大発生するかもしれません。

そうならないよう、多少腐っている肉を食べても平気なタヌキたちは、森の環境を守ってくれているのです。
分解が活発にすすむ夏場では、あっという間に肉が腐ってしまうので、おなかが丈夫なタヌキでさえ、亡くなった動物の肉はそれほど食べません。
タヌキは、自然界においてなくてはならない存在なのです。

タヌキが凶暴なのは、タヌキが悪いわけではありません。野生動物なら、身を守るため当然のことなのです。
人里近くにすみ、昔から私たち人間に親しまれてきたタヌキ見かけても、そっと静かに見守ることが大事なのです。

https://i.imgur.com/JSer62c.jpg
https://en.wikipedia.org/wiki/Japanese_raccoon_dog