「天下り」の指摘を受けたのは、東京・兜町の東京証券取引所近くに本社を置く日本証券金融(日証金)。証券会社に取引用のお金や株式を貸し出すのが主な業務で、公共性の高い金融機関。東証最上位のプライム市場に上場している。日銀と資本関係はないが、1950年の上場以来、現在の櫛田誠希社長(64)まで10代続けて日銀の理事経験者が社長になっている。

 これを問題視するのは、アクティビストとして活動する投資ファンド「ストラテジックキャピタル」(SC、東京)。日証金株を約5%持つ。丸木強代表(63)が言う。「日証金の役員の席が天下りの『指定席』になっているのは明らか。株価が低迷しているのに、天下り役員は高額な報酬を得ている。天下りは社会正義に反する上、公正に役員を選ぶというガバナンスの根幹が全く機能していない」

(中略)

 一方、日証金の担当者は「意思決定プロセスの中で、証券金融に必要な資質があるふさわしい人物をその都度、人物本位で選んできた」と反論する。日銀出身者のトップが偶然にも10代続いたという主張だ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/225334