学生時代に難解な数学の問題に手こずり、「これが人生で何の役に立つの?」と疑問に思った人は多いだろう。
弱冠20歳で博士号を取得した天才数学者ステファン・ボイスマンが、「本当に学ぶべき数学」をイスラエル紙に語った。

オランダ・デルフト工科大学のステファン・ボイスマン准教授(27)は言う。

「数学の本を書いていると話すと、『数学なんてみんな嫌いなのに、なぜそんな本を書くんですか?』とよく聞かれます。
かく言う私も、高校時代はもちろん大学でもグラフや公式が大嫌いでした。
なぜこんなものが必要なのかと、自問自答したものです」

しかしながら、ボイスマンが世に蔓延する数学への燃えるような憎悪に向き合って書いた
『公式より大切な「数学」の話をしよう』(NHK出版)には、多くの読者が共感した。
彼の故郷オランダで初版が刊行された後、数ヵ国語に翻訳され、売れ行きは好調だ。

「数学嫌い」が多いのは、学校教育のせいだとボイスマンは考えている。

学ぶべきは「実用的な数学」

「教室では、数学の裏に隠された意図を説明しないまま、子供たちに教えることが多いのではないでしょうか。
また、数学の試験では雑多な方程式の集合体のような、退屈な問題を解くことが求められます。

こんな無駄なことをやるより、実生活に応用可能な学問に取り組むほうがよいと、子供たちは思うのでしょう。
数学を教える際、ときには計算の背後にある基本的な考え方にもっと焦点を当てるべきです。
数学は何のための道具なのかを、言葉で説明するのです」
https://courrier.jp/news/archives/316740/