湖の氷が割れ転落した際の脱出法を授業で スウェーデン

スウェーデンの首都ストックホルムの北に位置する凍った湖に、エルトン君(11)はためらうことなく飛び込んだ。湖から上がって来ると、同級生から拍手が湧いた。

エルトン君ら生徒40人は、ラバレン(Ravalen)湖で行われた体育の授業の一環「氷の穴」に参加している。凍った氷が割れて水中に転落した際の対処法を学ぶ、湖が多数存在する北欧ならではの取り組みで、こうした授業は北欧諸国では一般的だ。

ソレントゥナ(Sollentuna)市で行われる授業は3週間にわたる。生徒750人は順番で幅2メートル、深さ4メートルの氷の穴に飛び込む。
エルトン君は、湖から顔を出した。水温は1度だ。首から下げた小さなアイスピックを両手に持ち、氷面に突き刺して、はい上がる。

スウェーデン人で、アイスピックを持たずに凍った湖の上を歩こうとする人はあまりいない。これがないと、滑ってしまいなかなか氷面に上がれない。
同級生と一緒に凍えた体をたき火で温めながら「思っていたよりかなり冷たかった」「でも、何とか30秒は耐えられた」とエルトン君はAFPに語った。

IT業界で働くエルトン君の母マリー・エリクソンさんは、授業を撮影するため見学にきた。「とても重要な授業だ。子どもたちはいつも湖の周りで遊んでいるので、知識を持つことで安心できる」とAFPに語った。
生徒たちは、帽子や手袋、靴など服を着たまま湖に飛び込む。リュックサックも背負ったままだ。リュックサックは浮くのに役立つだけではなく、体育教師のアンデシュ・イサクソンさんが持つ命綱につながっている。

https://www.afpbb.com/articles/-/3452302
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