「入店時はマスク外して」とニューヨーク市長 コロナ対策よりも犯罪対策 賛否両論:東京新聞 TOKYO Web
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【ニューヨーク=杉藤貴浩】米ニューヨーク市のアダムズ市長が「すべての店舗に(客が)マスクを外さず入るのを許さないよう求める」と発言し、波紋を広げている。背景には新型コロナウイルス対策よりも、店舗強盗などの犯罪への危機感があるが、体の弱い人々への不利益につながるとの批判も起きている。

アダムズ氏は6日に出演したラジオ番組で「マスクを着用する(一部の)人々は、コロナではなく警察に捕まるのを恐れている」と強調。店舗入り口などにある防犯カメラで顔が確認できるよう、入店時の客にマスクを外すよう求めた。

同氏は「店に入ったら、マスクを(再び)着けることもできる」とも述べたが、2020年からコロナと戦ってきた米最大都市で、トップがマスク「非着用」を訴えるのは異例だ。

ニューヨーク市警によると、市内で昨年発生した強盗は1万7411件で前年から25%以上増加。アダムズ氏の発言の3日前には、比較的治安がよいとされる地区の食料品店で従業員がマスクをした強盗犯に射殺される事件も起きた。

ニューヨーク市では現在、公共の場でのマスク義務はないが、インフルエンザ対策も含め、1〜2割程度が着用している。米メディアによると、アダムズ氏の方針には「マスクなし入店は平和の申し出だ」(市警幹部)との評価がある一方、公衆衛生の専門家からは「免疫不全の人々への非着用の強制は人権侵害に当たる」との懸念も出ている。