■弱者男性が保守に流れる気持ちがちょっとわかった

40代男。妻子あり。転職活動にまつわる様々で日々へとへとになっているある日、駅前で立憲民主党の女性議員が演説をしていた。
僕が見たときには先輩と思しき男性議員がマイクを持ってこんなことを話していた。
 
「**議員自身も一人の子を育てるお母さんです」
「女性が差別される、報われない、この社会を変えていかなければならない」
「LGBTQへの理解を進めて、多様性のある社会を実現していくために、今こそ**議員のような人が……」
 
直感的に、ほとんど本能的に「こいつ嫌いだな」と感じた。
女性であり、多様性を訴える新人議員の仮想敵は当然ヘテロ男性である自分のような層だ。
「あなたたち、どきなさい。あなたたち男性が、不当に私たちの権利を侵している」。
そんなことを言われたように感じたんだろう。
もちろん、ちょっと冷静になれば若手議員の訴えるのは社会の変革であって、自分のような個人を攻撃しているのではないことくらいわかる。
だけどその時は疲れていて、「女性である」というラベルを全面に出して演説されると直感的に「あなたたち男性が悪い」と攻撃されているような気分になった。

「こいつ嫌いだな」と感じた自分がすごく嫌だった。
自分もリベラルを自認する人間だし自民一強が続くのはどうかと思っている。
にも関わらず、「なんかこいつ嫌い」と感じたのは、一つには自分が疲れていたからだろう。
転職活動でへとへとだった。前の会社を納得のいかない理由で解雇され、行き場のない怒りを毎日感じながら転職活動をしている。
資格取得のために勉強しているが、家には居場所がないので図書館やファミレスを転々としながら勉強している。
家族からの目も冷たい気がする。気づかないふりをしている。そんな中で↑のような演説を聞いた。

「お前ら男性のせいで私たち女性が苦しんでいる」と言われて「いやいや、俺は既得権益層ではないよ」「弱者はむしろ今の僕だよ」と感じる。
自分も軽度だが障害を抱える人間だ。しかし自分はそのことを声高に人に言ったり訴えたりしない。
そういう「自負」があるから逆に、マイノリティであるというラベルを声高に訴えるあの新人議員の言葉に過敏に反応してしまったんだろう。

応援の先輩議員からマイクを渡されて挨拶する新人議員の言葉は本当にたどたどしくて、
「まだまだ勉強中ですが」「これからの私ですが」のようなことばかり言っていた。
なら勉強が終わってから選挙に出て来い。……とは思わないようにした。

こんな簡単に対立とか断絶って生まれるんだな、ちょっと疲れてたってだけでこんなふうに感じてしまうんだから、
本当に「自分こそ弱者だ」「報われていない」と感じている人たちからすれば、あの新人議員は凄まじい憎悪の対象になるだろうな。
「あいつこそ俺のパイを奪おうとしている悪だ」--。
そんなことを考えた。

https://anond.hatelabo.jp/20230328091425