
別種のオスとメスによる悲劇は超強力 進化と生態のカギ握る繁殖干渉
違う種のメスに求愛したり、交配したり。オスが引き起こすそんな行動の「エラー」が、生き物の進化や生態に深く関わっている可能性が見えてきた。
2000年代以降に研究が進み、行動や生息場所などを決めるカギとなる、極めて強力な仕組みであることが徐々に分かってきた。
その現象は「繁殖干渉」。メスの産む卵やつける種子の数を減らさせるといった、
繁殖への不利益を及ぼす求愛や交尾などの、種間の相互作用のことをいう。
理論的な研究は1980年代から始まった。
かつては、ギリシャ神話で女神や妖精を口説いたり襲ったりする好色な山野の精サテュロスにちなみ、「サテュロス効果」とも呼ばれた。
エラーを起こさないオスは不利になる?
本来「結ばれるはずのない」二つの種の間での繁殖行動は一見、極めて不合理だ。それがなぜ起こるのか。
多くの生き物で、オスはメスをめぐって激しく争う。少しでもチャンスを逃さない行動をとるオスは、より多くの子孫を残す可能性が高まる。
ただ、そんなオスは、よく似た別種のメスにも求愛や交尾をしてしまうエラーが起きる。
エラーを防ぐために相手を見極める基準を厳しくすれば、同種のメスを見逃し、繁殖の機会を失うリスクが増えることになる。
多少のエラーはあっても、チャンスを逃さない行動の方が繁殖上、成功を収めることにつながるのだ。
一方でこの行動は、メスにとって大きな迷惑だ。求愛でエサを探す時間が奪われる、受粉はしたが健全な種子ができないといった
さまざまな不利益をもたらす。最終的には、残せる子孫の数を減らしてしまう。
結果として何が起きるのか。ごく単純化した、AとBの2種がいる集団で考えてみよう。
繁殖干渉は別の種との間で起…
この記事は有料記事です。残り1733文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
https://www.asahi.com/articles/ASR305RDLR39PLBJ003.html