不登校になって久しい娘たち「ウクライナに帰りたい」…終わり見えない避難生活

 ロシアのウクライナ侵略開始から14か月が過ぎ、ウクライナから周辺国に逃れた人たちの避難生活が長期化している。
各国での難民登録数はウクライナの人口の約2割にあたる817万人に達し、受け入れ国で課題が浮かび上がっている。
(ベルリン 中西賢司、パリ 梁田真樹子)

(中略)
 難民の若者たちは、劇的な生活変化でドロップアウトの懸念がある。シェバノバさんは、同じ境遇の教師の役割は大きいと考えている。
「終わりの見えない避難生活に悩む子は少なくない。言葉を学べば進学などの道が開ける。未来に目を向けることが大切だと助言している」と話す。

 実際に、縁もゆかりもない土地に移り住み、困難にぶつかるケースは少なくない。

 フランス北西部ブルターニュ地方の村に移り住んで1年以上のバレリー・ミティウクさん(57)の14、10、7歳の娘3人は学校になじめず、
不登校になって久しい。

 キーウに住む長女ダリアさん(30)によると、避難先はインターネット情報などで見つけたもので、周囲に知人は皆無だという。
フランス語の壁もあって勉強が追いつかない。級友の集まりにおやつを持って顔を出す経済的な余裕もなく、次第に引きこもりがちになったという。
ダリアさんは「妹たちは3人とも、ウクライナに帰りたいと話している」と涙ながらに語った。

 未曽有の人口流入は支援国を圧迫し、摩擦を生んでいる。

 学校長が対象のドイツの調査では、53%が難民の子供の受け入れについて「余力はない」と回答した。
158万人が国内にとどまるポーランドでは、財政難から難民に自宅を開放する一般家庭への助成を廃止し、避難所宿泊の無償支援も縮小した。

 周辺国のこうした対応について、難民支援団体からは「ウクライナが安全でないのに帰国する難民が増えれば、
民間人が戦闘に巻き込まれる危険が増す」と懸念する声が出ている。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20230502-OYT1T50042/