WBC決勝戦が開かれたまさにその時間にTVチャンネルを回してみると、NHKでは全く違う野球競技が流れていた。
同じ時間帯に開かれた春の高校野球選抜大会本選1回目、甲子園が生中継されていたのだ。
WBC決勝戦の余波なのか画面に映った甲子園には観客が少なかったが、国民的関心事で浮上した重要な競技が起きた瞬間にも公営電波を割愛して高校野球を中継するという事実がかなり異色的に感じられた。
韓国では高校野球の人気が枯れてから長い。かつてかなり人気を享受した時代もあったが、1982年プロ野球リーグが発足し、野球ファンの関心から遠ざかった。
これに比べて、日本では高校野球が今でも大きな愛を受ける。特に「甲子園」という別名でもよく知られている高校野球全国大会はテレビで生中継される全国的な関心事だ。
兵庫県にある甲子園球場は、一世紀前に高校野球大会のために建設された球場だ。春には高校野球選抜大会の本選競技（「春の甲子園」）が、夏には高校野球選手権大会の本選競技（「夏の甲子園」）がここで開催される。
やはり高校野球の絶頂なら毎年8月の爆炎の中で開催される甲子園夏大会だが、49チームが進出する本選の舞台に立つために全国でなんと3500余高校野球チームが実力を競う。
地域の強豪たちが何度も合を競った後にこそ、甲子園球場に立つ機会がやっと与えられる。若い野球選手たちには甲子園でプレイしてみる以上の夢がないのだ。
甲子園の試合が終わると選手たちは球場の土をハンカチに大切に包んで大事にする。勝敗とは無関係に夢を叶えた彼らの激しい表情を見て、心のこもった野球ファンが少なくない。
実は日本のプロ野球リーグで活躍するすべての選手が甲子園出場を目指して実力を磨き上げた高校選手出身といっても過言ではない。
実際に甲子園で頭角を示した選手たちはプロ野球リーグでキャリアを積む機会を得る。日本野球界の立場から見ると、甲子園は立派な選手で大きな「種」を発見し、それらを次の段階に導く過程といえる。
WBC決勝戦と重なる時間に開かれた高校野球の試合は「夏の甲子園」よりは位相が一層落ちる「春の甲子園」だった。
しかし、その球場の土を踏むために汗を流してきた若い選手たちには、何より大切な瞬間だったに違いない。
WBC決勝戦に来た関心が集まったときにも、この若い選手たちの試合を中継電波に載せてくれた公営放送も本当にすごい。
「結果よりは過程」を重視する日本文化の情緒的断面を表わしたように意味深長に感じられた。
韓国にも名脈を続ける全国高校野球大会があるという。ところがテレビ中継はこんな大会が開かれるという事実を知る人も多くない。
何よりもこの大会に出場可能な野球チームがある高校は全国で100カ所にもならないということだ。
日本で甲子園予選に参加する３千５百余の高校野球チームとは比較にならない数字だ。
WBCで結果が支持不振だった韓国の野球代表チームに対する批判もあるだろうが、「結果よりは過程」を重視し、長い間野球インフラを築いてきた日本野球界より体質が虚弱なのはどうしても当然だ。
https://v.daum.net/v/20230401043029206
