国連、マリでのPKO撤収へ アメリカ、ワグネルが追放加担と批判
毎日新聞 2023/7/1 11:51(最終更新 7/1 17:22)

 国連安全保障理事会は6月30日、アフリカ西部マリでの国連平和維持活動(PKO)を即時に終了する決議を全会一致で採択した。マリ暫定軍事政権は、反政府武装勢力への対処でロシアの民間軍事会社「ワグネル」の支援を受けており、PKO部隊の即時撤収を要請していた。PKOは受け入れ当事国の同意が原則とされ、部隊は年内に完全撤収する見通し。米国は、ワグネル創設者のプリゴジン氏が自らの利益のためにPKO撤収に加担したと批判した。

 PKO部隊の派遣はイスラム過激派勢力がマリ北部を制圧したことを契機に2013年、始まった。マリでは20年と21年のクーデターで暫定軍事政権が発足し、米欧との関係が悪化。治安維持のため駐留していた旧宗主国のフランス軍は22年に撤退した。これに前後してワグネルがマリで活動を始めたとみられ、影響力を拡大していた。

 国連は今年5月に発表した報告書で、ワグネルの支援を受けたマリ軍による反政府勢力の掃討作戦(22年3月)で500人以上の市民が殺害されたと指摘した。マリ側はこれに反発し、安保理にPKO撤収を求めていた。

 英BBC放送によると、マリには1000人近いワグネルの戦闘員が駐留する。ただ、ワグネルはロシア国内で6月24日に反乱を起こした後、混乱しており、マリでの活動の行く末は見通せない。

 安保理決議を受け、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は30日、PKO撤収は「マリの経済的苦境を悪化させ、国内と地域の不安定化を助長する」として「深い懸念」を表明。マリ暫定政権は21年後半からワグネルに2億ドル(約290億円)以上を支払っているとの見方を示した。英国のウッドワード国連大使も「ワグネルとの協力がマリの人々に長期的な安定と安全をもたらすとは思えない」と危惧した。国連のグテレス事務総長の報道官は30日の声明で、マリ暫定政権に「秩序ある安全な形でのPKO撤収」に協力するよう求めた。

 マリでのPKOには23年2月時点で1万5000人以上が参加。10年間で300人以上が任務中に命を落とし、世界で最も犠牲者の多いPKOとされている。
https://mainichi.jp/articles/20230701/k00/00m/030/049000c