20代以上の女性は「純粋じゃなくなってくる」
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性障害専門医療センター「SOMEC」代表理事で、再犯防止のため性障害治療にとりくむ精神科医の福井裕輝さんは、男性の言動を受けて「悪いとはわかっていても、自分が正しくて、法律や社会のほうがおかしいという考え方をもつ確信犯的な思考の印象です」と分析する。

SNSや出会い系サイトなどインターネットを通じてつながる犯罪が増えていて、特に未成年の関与が増えている中で、法改正は必要であり、遅かったくらいだとも指摘した。

「『彼女のほうから誘われた』『グルーミングを禁止されたら恋愛できない』というのも、成年者であれば禁じられているわけではなく、15歳には同意能力がないのであって、稚拙な言い訳だと思います。

時効延長されると冤罪が増えるおそれがあるとしても、性犯罪に限らずどんな罪でも罰則規定は何らかの抑止力になるために作られています。それに付随して冤罪も生まれるでしょうけど、それよりも作るメリットが大きいと想定されている。だから問題だとは思いません」

2017年の刑法改正で「強姦罪」が「強制性交等罪」になり、被害者の性別が問われなくなったタイミングで、治療に訪れる女性患者が急に増えたという。

「今回の法改正でも、性交同意年齢の引き上げによって、性犯罪の枠が新たに増えるので、今まで問題が表面化していなかった人などが治療を受けにくることが予測できます。

13歳未満の小児性愛(ペドフィリア)より上の15~19歳に向かう性的嗜好(エフェボフィリア)との病名だとすれば、治療できます。もしこの男性に治療意欲があるなら、自分は正しくて、法律や社会がおかしくて間違っているという『認知の歪み』の心理的教育をしながら、自分が悪かったんだと理解してもらいます。

不起訴となった男性が、社会的制裁だけ受けている状態は、単に本人だけがどこまでも納得のいかない状態と言えます。警察や検察が治療につなげる流れを作ってほしいと思います」

●10代の少女を好きなわけじゃない。大人の女性は「純粋じゃなくなってくる」

男性の話に戻る。彼は「若い少女だけを好きなわけでない」と説明している。

10代との交際が多いものの、「交際しても問題にならない20代や同年代と本当は付き合いたい」のだという。

ただ、その年代の女性たちが「純粋じゃなくなってくる」から交際まで至らないそうだ。

「同年代の女性はお金とか会社の地位やステータスで見るようになってくる。若い子は、ステータスや経済力ではなく、僕を人間そのものとして見てくれる。好かれることが多い」

「失うものが大きすぎるから、もう同じことはしない」と言いつつ、また未成年の客と2人きりにならないように気をつけなければ、とも口にしていた。

男性にとって、改正刑法は一定程度「嫌な法律」として抑止力になりそうだが、冤罪を避けるための措置や、やりとりにおいてグルーミングをどのように見きわめるのか慎重な運用がもとめられるだろう。

取材を受けたのは「何か言えば炎上するし、黙っているしかなかった。誰にも何も言えなかった。誰かに何か言いたかった」という思いがあったからだという。孤立させず、安心して話せる場も必要かもしれない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ec64a0c34d9409e3d3e195dba6a197971be354b0?page=2