「お早めに納付を」AIが納税催促 東京・港区が23区で初導入
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東京都港区が、住民税を納めていない区民や事業者に対し、職員に代わって人工知能(AI)が納税を呼び掛ける電話業務を行っている。都内IT企業が開発したシステムを活用した取り組みで、2023年度中に約4万件の電話をかける想定だという。区がこうした最新技術を採用した背景には、年間6万件を超える未納者の存在があった。【加藤佑輔】
「こちらは港区役所税務課です。○○様であれば『はい』とお答えください」。AIが納税を呼び掛ける事業を始めたのは、23年4月から。女性の声のAIが未納者に電話をかけ、相手が「はい」と答えて本人確認ができた場合は「住民税の納付が確認できておりません。お早めに納付をお願いいたします」とAIが呼び掛ける仕組みとなっている。
区は事業開始にあたり、品川区のIT企業「TACT」の開発した電話自動案内システム「AIコンシェルジュ」を採用。人の発する言葉を音声認識でテキスト化し、AIが適切な回答をするという仕組みだ。羽村市や沖縄県名護市などが採用しているシステムで、区によると23区では初導入という。
区が今年度計上した関連予算は約360万円。AIの使用料は、電話がつながれば1本当たり98円、つながらない場合は1本当たり40円となる。事業を始めた理由について、区の担当者は「税金未納者への督促作業で職員の負担が大きくなっていたため」と話す。
区の昨年度の未納額は約20億円に上る。対象となる区民や事業者ら約6万5000件に督促状を送り、うち連絡先が分かる区民らには電話をかけて納税を促したものの、つながったのは1万5000件程度だったという。
この事業では、あらかじめAIが電話をかける時間を設定できるため、区役所が閉庁している土日祝日にも連絡が可能となる。平日に勤務などで電話に出られない区民らにも効率よく納税を呼び掛けることができ、職員の業務負担軽減や徴収率向上が期待される。
区の担当者は「AIの導入により、多様化する区民のライフスタイルに合わせた時間帯での納税の呼び掛けが可能となる。著しい効果があれば、他の業務へのAIの活用も検討したい」と話している。