あまりに辛辣!外国の船が「日本の港」を避ける訳
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日本に寄る魅力がなくなった

日本は製造コストの安さを極限まで追求し、新興国の奥へ奥へと進み製造拠点を海外に移管してきた。俗に言う空洞化だ。私はかつて日本の有名製造業で勤務していた。そのときサプライチェーン担当役員は「日本に寄与するためには空洞化の徹底が必要だ」と述べており衝撃を受けた。日本は頭脳で勝負する。生産は海外。

15年ほど前「マザー工場」なる言葉が喧伝された。生産が減っていく日本では生産品質の技を磨く。そのノウハウを海外の工場拠点に伝えていく役割を果たす。まるで母親が子供に人生で大切なことを教育するように。

しかし輸出は減少、あるいは横ばいが続き、製品・商品の物量が伸びないなか、国際物流のなかで日本が地位を低下させるのは当然だった。そして国際物流の低下がさらに日本の地位を低下させたのは皮肉としかいいようがない。

いっぽうでコンテナ船運航で有名な台湾の会社は2021年末のボーナスが40カ月になったと発表した。モノを作る、ではなく、運ぶのはそれだけの収益と利益を稼げると証明した。

国際物流をサポートし企業へ物流サービスも提供するコンサルタントに、日本〝負け〟の状況について聞いてみた。氏自身かつて物流会社に勤め、海外勤務を通じ国際物流の厳しさを現場で知っている。

「簡単にいうと、日本の魅力がなくなったことに尽きます。船舶の企業は、儲かれば日本を素通りすることはありません。当然ですよね。それ以外に理由はないですよね。

日本からはお金がもらえる貨物がどんどん減っているので、どうしても後回しにせざるをえません。つまり儲からないんですよね。積載率も満載にならない。しかも少子高齢化でしょう。人口も伸びていない。残念ながら経営側としては日本を重要視しないのが合理的です。