タワマンというのは「何階に住んでいるか」によって、明確なヒエラルキーの可視化が可能である。単純に、新築時の販売価格が高かった高層階に住んでいる方がエライのである。

 いちいち、微妙な会話で相手の社会的地位を探り、自分が上か下かを考えなくていい。

「何階にお住まいですか?」

 この質問とその答えだけで、明解に答えが出るのである。

日本社会は、私が受けた昭和期の初等・中高等教育が象徴するように、そもそもヒエラルキー的上下をハッキリさせずに曖昧な「平等」「対等」を重んじてきた優しい社会だと筆者は考える。しかし、タワマンコミュニティではそのあたりが「何階の住人か」ということで明解に分かってしまう。

 そして「ニューカマーのプチ成功者」が集まって住んでいる湾岸タワマンでは、特に競争意識の強い人々が多い。だから、そこには様々な悲喜劇が生まれている。

 最近、タワマンに暮らす人々を漫画チックに描いた記事やショートストーリーなどをよく見かけるようになった。そういったコンテンツの中でキーになっているテーマは、やはり「階層ヒエラルキー」だ。

 子どもたち同士の会話に「お前んちは何階だ?」というフレーズが当たり前に出てくるという。そして、高層階に住む子どもは低層階の住人をあからさまに蔑むという。背筋がぞっとする話ではないか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/212a5c3e6d1220b405ea9e2c6a74c5546743721b