総務省の「家計調査」によると、1世帯あたりの年間支出額(2人以上の世帯)は、2000年はだいこん漬け1432円、はくさい漬け1073円、他の野菜の漬物7416円だったが、2022年にはそれぞれ1038円、560円、他の野菜の漬物4914円と減少。およそ20年で約3割から4割強減っている。日本人の“漬物離れ”の背景に何があるのか? 漬物を食べなくなった、作らなくなったという人たちに、その理由を聞いてみた。

「一度は好んで食べるようになったものの……」
 メーカー勤務の20代男性・Aさん(都内在住)は、そもそも漬物を子供時代に食べたことがなかった。“漬物文化”がない家庭だったという。

「食卓にのぼったことがありません。一度、旅行の時に買ったおにぎり弁当に黄色いたくあんが入っていたのですが、当時はそれを食べるものと思わず残していたぐらいです」

 そんなAさんは、大人になってから漬物の美味しさに開眼。一時期ハマった時期があった。

「居酒屋で誰かが漬物を頼んだので、僕も初めて食べました。大根や茄子の漬物で、箸休めにはいいし、初めて食べる味が新鮮で、『何これ!』という感じ。しばらくは居酒屋に行く度に漬物を頼んでいたほどです」

 しかし、Aさんは漬物離れを起こしたという。なぜか。

「お店によって、漬物が違うのはいいんですが、いかにも“パックからそのまま出してきました”みたいなものも多いなと。漬物偏差値があがってくると、業務用の漬物にあまり魅力を感じなくなってくるんですよね……。味が濃いというか、塩分もきついような気がして、あまり頼まなくなりました」(Aさん)

時間と気持ちに余裕がないと作らない
 Aさんは「元々漬物って、“家でおばあちゃんが作っていた”とかいう話をよく聞きますが、僕の周囲で作っている家はないんですよね」というが、実際に、「以前は作っていたけど、最近はもう作らなくなった」という家庭も増えているようだ。70代の主婦・Bさん(神奈川県在住)が言う。

「私はぬか漬けが大好き。子供たちがまだ小さい時代、ぬか漬けを作っていた時期もありましたが、温度管理など手間がかかります。子供がすぐにお腹いっぱいになるメニューを優先していると、とてもぬか床の管理まで手が回らなくなりました。

 コロナ禍で、久しぶりにぬか床を買ってみましたが、食べられるまでに時間がかかるのが面倒に感じ、また次第に世話もしなくなってしまい……。時間と気持ちに余裕がある時じゃないと、漬物はなかなか作らないですよね」

 Bさんは、「商店街でも、手作りの漬物を提供する個人商店が減りましたね」と続ける。

「自分で作らなくても、昔は、地元の商店街で、大きな樽に入ったぬか漬けを、『人参150円、キャベツ200円』みたいな感じで売っていた八百屋さんがあったものです。最近はそういったお店を見かけなくなりましたよね。個人商店で作った手作りの漬物を売ってくれたら、私は積極的に買いに行くのですが」(Bさん)https://news.yahoo.co.jp/articles/c90aa7d0ed25325aafcd62565398bccf5552a4e2