しんぶん赤旗
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik23/2023-07-18/2023071801_06_0.html

きょうの潮流

 第169回芥川賞があす発表されます。事前に候補作を一気読みして受賞作を予想するのが、恒例の楽しみになりました。今回の5作も現代の重い課題を突き付けます▼己の浅はかさを痛感させられたのが市川沙央『ハンチバック』(「せむし」の意)。先天性の筋疾患を持ち人工呼吸器と電動車椅子を使って生活する著者が、生きるほどに壊れていく身体を活写し、健常者の無知と傲慢(ごうまん)を暴きます▼児童ポルノの社会的要因を告発したのは児玉雨子『##NAME(ネイム)##』。小学生時代にジュニアアイドルの活動をしていた主人公は、自身が性的搾取の被害者だったことに気づきます。性的対象物として消費された日々、自分を取り戻す祈りのような呼び名がありました