実質的な負担は生じない」と岸田文雄首相が繰り返している「支援金制度」を導入する法案が2月16日閣議決定された。今国会での成立を目指す。
少子化対策の財源として導入されるもので、「国民1人あたり月500円弱」社会保険料負担が増えると言いながら、「負担は増えない」と言い張る首相の論理は、どうみても詭弁(きべん)。児童手当の拡充や10万円の「出産・子育て応援交付金」などの財源として1兆円が必要になるとされるが、それを「保険料」と同時に徴収しようとする「ステルス増税」にほかならない。

「国民1人あたり月500円」というと大した金額ではないように感じるが、これは必要になる財源額を単純に国民の数で割った金額に過ぎない。
政府はこの制度を使って2026年度に6000億円、27年度に8000億円、28年度に1兆円を徴収する方針を固めている。この額を単純に割って「平均額」と言っているが、実際には、共稼ぎならば2倍になるし、社会保険の保険料率と同様に「率」で決めることになれば、収入が増えれば負担も増えることになる。

また、加入する保険によっても金額が増える。日本総研の西沢和彦理事の試算として、医療保険の加入者1人あたりの支援金の月平均額は、協会けんぽで638円、健保組合で851円、共済組合で898円、国民健康保険で746円になると日本経済新聞は報じている。

何よりも政府が言っているのは「月額」の話で、仮に500円だったとしても年間6000円、健保組合だと1万円を超えることになるとみられる。共稼ぎならば2万円超ということだ。支援金制度の具体的な制度設計も明らかではなく、収入が多い人の負担はさらに高まる可能性もある。

https://bunshun.jp/articles/-/69074?page=1