ゼリーじゃないのになぜ「ゼリー」? おからで作る地元の味、名前の由来は今も謎 行田の「ゼリーフライ」
2024/03/31
「ゼリーフライはなるべく、お店で食べてもらってね」。埼玉県行田市役所を辞めて飲食店を開くと打ち明けた大沢照夫(76)に、商工観光課にいた同僚は意外な話をした。
野菜を混ぜたおからを油で揚げるゼリーフライ。庶民的なソース味で人気の郷土料理だが、土産に買って帰った市外の人から「これが名物なのか」と市役所に苦情が来ると、同僚はこぼした。
冷めるとパサパサになり、食べると胸焼けがする。揚げたてとはまるで別物になってしまう弱点を克服しなければ。大沢は店のオープンを控え、妻の薫(76)と一緒に味の探求を始めた。
「ゼリーフライはおやじの時からですね」と話すのは長島鳩(あつむ)(77)。行田市宮本で「かどや豆腐店」を営む。1949年に、同市天満から現在地に店が移って間もなく売り出したから、ゼリーフライに関しては最古参だ。
豆腐の製造過程で出る大量のおからを何とかしたいと父、良男が始めた。20歳で店に入った長島は調理の傍ら、買い物客に懸命に作り方を教えた。「行田中、いろんな人に教えました。広まったのはそのせいもあるんじゃないかな」と振り返る。
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■銭→ゼリーは誤り?
ゼリーフライという名前の由来については、その小判形から「銭フライ」と呼ばれ、やがてそれがなまって「ゼリーフライ」になったというのが定説。しかし、かどや豆腐店の長島鳩(あつむ)は「あれは間違い」と、きっぱり否定する。
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