1970年代に生まれた「一億総中流社会」という言葉。大半の国民が中流の暮らしができているという概念だが、いまやその認識は崩れ去り、相対的貧困率は先進国の中で最悪だという。

日本の結婚生活は、「不幸の共同体」に陥りかけているのではないでしょうか。高度経済成長期には、「今は不幸でも、これから幸せになれる」と多くの人が夢を見られたのに対し、今の日本は、「現在、不幸」なら「今後もずっと不幸」と思うしかない社会状況であるように見えます。

人生のステップアップを望めない非正規雇用者がこれだけ多い日本で、しかし現在いちおうの安定を享受している中流層も、不安から逃れることはできません。わずかに気を抜けばすぐさま現状のステイタスから下流に滑り落ちてしまう恐怖に、特に現役子育て世代はからめとられています。

かつて「一億総中流社会」と言われた日本で、今も「自分は中流」とみなす国民は多いのですが、実態はすでに「下流」であるケースは少なくありません。2023年に厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」では、21年の日本の相対的貧困率は15.4%で、先進国中最悪の値でした。「相対的貧困」とは、等価可処分所得(世帯可処分所得を家族人数で割った数字)が中央値の半分未満で暮らす人々のことです。日本の場合は1人当たり127万円未満がそれに当たります。

「相対的貧困」は、目に見えにくいのも特徴です。食べ物や衣服にも事欠き、飢えや無学に苦しむ「絶対的貧困」と比べれば、いちおう屋根のある家に暮らし、何とか食べるものはあるし衣服もある。しかも、格安スマホも持っているとしたら、その人のリアルな経済状態などは傍からはなかなか窺えません。

それでも日本で暮らすにあたり、年間127万円という数字は厳しいのが現実です。公立学校には通えても、制服やランドセル、修学旅行費用を捻出できない、冷蔵庫や洗濯機を買えない、冠婚葬祭のためのお金の用意やスーツの新調ができない、皆で楽しむ旅行や飲み会に参加できないなどなど、経済的理由から「皆と同じ」生活水準を得られない状況です。

そういう人々が、およそ6~5人に1人の割合でいる国が、今の日本なのです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/dc810f5cdaf74a442bc8764ffe9fc7f3ba2355ec?page=2
https://i.imgur.com/4cAViAV.jpg