まずは、主要私鉄でよく遅れる路線を見てみよう。1カ月あたりの遅延証明書平均発行日数で数字を出している。東武鉄道では、伊勢崎線が4.0日、東上線が3.5日である。
西武鉄道では、池袋線が11.5日、新宿線が10.3日である。京成電鉄では、京成本線が13.8日となっている。
京王電鉄では、京王線が6.5日である。小田急電鉄では、小田急線(3つの路線すべて)が18.8日だ。
東急は主要路線となる対象路線が多い。東横線は14.6日、目黒線は13.0日、田園都市線が13.3日。
京急電鉄では本線の品川~横浜間で5.7日、相鉄は相鉄線で4.3日となっている。
では、あまり遅れない路線はどこだろうか?
東武鉄道では、野田線が1.1日。京王電鉄の井の頭線は2.0日。東急の大井町線は2.0日、池上線は3.4日、東急多摩川線は1.7日となっている。
よく遅れる路線は各私鉄の主要路線であり、そのなかでも本数が多く、編成も長い路線で遅れが多く発生していることになる。
重要な路線で遅れが少ないのは、京王電鉄の京王線や、東武鉄道の伊勢崎線や東上線である。伊勢崎線は複々線が効果を発揮しているとわかる。
「朝ラッシュ時にノロノロ運転が多い京王が、なぜ6.5日?」と思う人も多いかもしれないが、これは本数を増やすために列車の速度を落として、かたちだけは定時運行をしているように見せているのである。
もちろん、追突などしないよう「京王ATC」と呼ばれる優れたATCを採用している。また、京急や相鉄も遅れは少ない。
このように見ていくと、比較的本数が少なく、編成も短い路線のほうが、遅れは少ないといえる。京王の井の頭線や、東急の大井町線、池上線、多摩川線といった路線は、都心に近いところを走っている路線であり、
大井町線を除いて、他路線への乗り入れがない。東京都内の職場に通う人は、このあたりの路線に住むことを検討してはいかがだろう。ただ、家賃などがかかりそうな住居が多い路線ではある。
「沿線格差」という視点から目立つ東急や小田急の主要路線は、利用者も多く、それだけ遅延も多い。
定刻通りに走らない傾向のある路線の沿線に暮らす人は、職場に遅刻しないように家を出る時間を早めたほうがいいかもしれない。
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