インフレヘッジにも有効
物価連動債はインフレ時には元本と利払いが増えるので、インフレヘッジも可能になる。インフレヘッジには株式が有効とされ、年金資産運用では重宝されてきたが、物価連動債があればさらにインフレヘッジが容易になる。
個人が物価連動債を購入できないのは、発行量が少なすぎるからだろう。下図は、先進国における物価連動債の構成比であるが、日本はあまりに少ない。「いい商品」なので、少ない発行量を金融機関で分け合い、個人に届かないのだろう。
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筆者が役人時代に通常の利付債ではなく、物価連動債をもっと発行したらどうかと提言したことがある。
例えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は物価連動債に全額自動投資すれば、年金財政からみればインフレヘッジができればいいので株や外債はまったく不要となり、GPIF運用業務費用で数百億円程度浮く。これは、GPIFの抜本改革にもなる。
いずれにしても、日本の物価連動債は少なすぎる。
なお、先週6月8日(土)に放送された「正義のミカタ 特別編!おっかねーお金の話SP!」(大阪朝日放送)の放送後に、他の話題を含めて筆者が「高橋洋一チャンネル」で解説している。興味のある方はご覧いただきたい。