空港の人手不足が、コロナ禍から立ち直ろうとする航空業界に影を落としている。グランドハンドリング(グラハン)と呼ばれる地上業務の従業員が足りず、一部の国際線では思うように運航ができない状態だ。国土交通省の有識者検討会が11日に人材確保案を示すなか、自治体や事業者も対応を急いでいる。
「このままではインバウンド(訪日客)の需要を取り逃がす可能性がある」。北海道航空課の担当者は、危機感を隠さない。玄関口である新千歳空港では、国際線の一部で増便計画が停滞。便数を増やそうとしても、外国の航空会社(外航)が希望する曜日などに、グラハン事業者側の態勢が整わず、契約がまとまらないケースが複数の路線で起きているという。
国交省によると、保安検査の要員不足もあり、沖縄・石垣島など一部の地方空港で同様の事態がみられている。自治体は外国からの観光客の回復をめざす一方、地上業務を担う事業者の態勢が追いついていないという。
グラハンは駐機場周辺での飛行機の誘導や荷物の積み込み、カウンターでの受け付けなど幅広い業務がある。羽田や伊丹といった都市部の空港では、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)のグループ会社などが担い、地方空港ではバス、観光会社といった地場企業が請け負う場合が多い。
求職者への魅力薄れたコロナ禍 離職者も増加
国交省による主要61社への聞き取りでは、地上業務にあたる従業員数は昨年12月時点で約2万1600人と、コロナ前の19年3月の約2万6300人から2割近く減った。326万円の平均年収(国交省による複数社への聞き取り)や変則的な職場環境もあり、もともと人手不足は懸念されていた。
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