https://news.yahoo.co.jp/articles/119f93a2fc5804f893974adbd7118d80e69a18c1
カリフォルニアの干ばつのおかげで見つかった飛行機は、56年前に墜落した機体かも
2021年6月26日の記事を編集して再掲載しています。
米国カリフォルニア州では記録的な干ばつが起きて、湖の水位は過去最低に下がっています。そんな中、貯水位が低下したおかげで、湖の底に眠る飛行機の存在が明らかになりました。もしかしたら56年前に墜落した飛行機の謎が解けるかもしれません。
先週、水中測量会社の作業員2人は、観測史上最も浅い水位に達したフォルサム湖で検査を行っていました。彼らが仕事をしていると超音波探知機が奇妙な瓦礫を感知。さらに調べてみると、小さな飛行機のようなものが見つかったのです。
Seafloor Systemsのソナー画像には湖の最も深い、水面下49mのところに横たわる飛行機の輪郭が写っていました。通常であれば、それほどの水深はソナー画像でもスキャンが不可能だと思われますが、干ばつが湖に影響したために小型機の尾部とプロペラの鮮明な画像を捉えられたのです。
あいにく水位が低くなって、水が淀んで沈泥だらけにもなったので、技術者たちはキャビン内をハッキリと見たり飛行機の便名を見つけたりはできませんでした。しかし、彼らはその機体が1965年の元旦にフォルサム湖に墜落して4名が亡くなった小型機と同じモデル、パイパー・エアクラフト社の「コマンチ250」によく似ていると語っていたのです。
Seafloor Systems社のCEO、Josh Tamplinさんは「ソナーの範囲は100フィートほどなので、機体がはっきりと見えます」と地元局KRON4に語っていました。「胴体がここに、右翼がここに見えます。尾部もね」
飛行機の残骸と思われる機体が今回発見されるまで、墜落事故から回収できた被害者の遺体はただひとり、パイロットだけでした。被害者の遺族は、事故の真相が解明されていないことは数十年間にわたって彼らを苦しめてきたと語っています。
墜落で夫の兄が亡くなったというKatherine Radicanさんは、ABC Newsに対して「夫はお兄さんのことをあまり覚えていませんでしたが、湖の水位が下がったときには繰り返しお母さんと湖に行っては、何か見えないかと周りを見て回っていました」と語っています(悲しいことにRadicanさんの夫は3年近く前に死去しています) 。
地元の保安局は、近いうちにSeafloor Systems社の代表と会って、航空機引き上げの共同作業について協議する予定。もし、墜落した飛行機だと判明すれば、遺族たちはようやく気持ちの整理をつけられるかもしれません。
現在、フォルサム湖の貯水量は半分以下となっています。例年は湖を補給するシエラネバダ山脈の雪塊量が今年は少なかったからです。今月の頭には雪塊量が6月1日平均値の0%になって、観測地点では既に雪が完全に解けてしまったことを示していました。積雪の少ない年であることに加え、悪要因は激しい猛暑です。どちらも気候危機の特徴で、カリフォルニアはもっと極端な乾燥と雨の多い年に見舞われるようになり、気温の上昇が降水量の大混乱をもたらします。西部には記録的な熱波がやってくるので、かつてないほどの乾燥した状況はさらに悪化すると予想されます。
Seafloor Systems社の作業員たちによる発見は、気候危機に伴って歴史の断片が明らかになる話の最新事例と言えそう。先月はイタリアアルプスで第一次世界大戦の遺物を研究者らが発掘。2018年の夏には、干ばつと猛暑に見舞われたイギリスで農場から数千年前の古代の建造物の遺構が見つかっています。
発見された小型機によって、墜落事故の遺族が気持ちの区切りをつけることができたら幸いです。でも、記録的な干ばつのせいでサーモンが川から海へ泳いでいけなくなり、農家は作物を引っこ抜かざるを得なくなり、カリフォルニア州全域にさらに山火事が起きる可能性が高まることも記憶にとどめておくべきです。乾季はまだ始まったばかりですからね。