「惨敗」甘利明前幹事長がメディア立入禁止の会議で語った恨み節
11/22(月) 11:02
https://news.yahoo.co.jp/articles/b2b00c46ba5940becff5bba0f9f0928110aa3212
「麻生(太郎)副総裁からは『党全体は勝ったのだから辞めるべきではない』と慰留されたんです。
しかし、これ(辞任)は政治家としての私の矜持(きょうじ)です」
11月5日、東京・永田町にあるホテルの宴会場でそう語ったのは、自民党の前幹事長・甘利明氏(72)。
甘利氏が10月31日の衆院選で、小選挙区で落選したのはご存じの通りだ。全国紙記者が語る。
「幹事長といえば『選挙の総責任者』であり、
選挙期間中は自分の選挙はそっちのけで全国の選挙区に応援に回る立場です。
現役幹事長の落選は’96年に小選挙区制が導入されて以降、初めての事態です」
甘利氏は比例区では復活したものの、この”惨敗”を受け、11月4日に幹事長を退任。
本誌は10月1日に幹事長に就任した甘利氏が、お祝いに送られた胡蝶蘭を、
他の議員たちへの祝い花として使い回していたという疑惑を報じた。
それからわずか1ヵ月ほどで、幹事長の座を追われることとなった。
そんな甘利氏が退任の翌日にホテルの宴会場で熱弁をふるっていたのだ。会の出席者が語る。
「この日、甘利さんによる朝食勉強会、いわゆる『朝懇』が開かれていたのです。
会には支援者や企業人など200名ほどが出席していました。
通常、こうした朝懇では、本人は冒頭の15分ほどだけ話し、
その後は講師として呼ばれた他の議員などがメインで話すというケースが多い。
しかしこの日、甘利さんは60分ほど話し続けていました」
よほど話したいことが溜(た)まっていたのだろう。甘利氏は選挙戦を振り返り、こうグチった。
「敗因は日本中からの落選運動です。共産党などによってフェイクニュースをSNSで拡大され、
全戸にチラシ配布するなどの運動をされたんです。
序盤戦からマイナス15%の差をつけられ、巻き返せなかった。
あの差を巻き返せるのは、神奈川では河野太郎と小泉進次郎ぐらいしかいないでしょう」
自身の小選挙区落選を散々報じられたことでストレスが溜まったのか、
甘利氏の矛先はマスコミへと向かった。
「今回の組閣で、これまで『チーム甘利』としてがんばってきたメンバーが主要なポジションを占めました。
こう言うと、またマスコミはすぐに『甘利人事』と書くんです。
最近のマスコミは劣化していて、揚げ足取りばかり。
マスコミが視聴率ばかり見て仕事をしないように、スポンサーである企業は、
報道、放送の質をしっかり見てほしい」
そう甘利氏はグチり続けたが、
自民党内からは反対に甘利氏へのグチが止まらないという。自民党関係者が語る。
「選挙期間中に甘利氏が自民党の職員を
自分の選挙区の『電話作戦』に駆り出していたと報じられ、ひんしゅくを買いました。
しかし、それだけではないのです。
自民党には、党が所有している選挙カーがあるのですが、
甘利さんが選挙期間中にそれを自分の選挙区に持っていってしまった。
『幹事長とは思えない』と不満の声があがっているのです」
朝懇が終わった後、会場前で甘利氏を直撃した。
――フライデーです。
そう声をかけると、甘利氏は「えっ」と言って目線を逸(そ)らし、出口へ向かって歩き出した。
――選挙期間中に甘利さんが自民党の選挙カーを使ったことで他の候補者が困ったという話がありますが。
「いや、ほとんど使ってないですね」
――党職員を「電話作戦」に使ったという話もあります。
「使ってないですね」
終始、本誌記者のほうを見ようとはせず、足早に車に乗り込んでいった。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏が話す。
「小選挙区での落選はさまざまな要因がありますが、
最たるものはUR口利き疑惑というスキャンダルがありながら、
説明責任を果たしていないと有権者が感じたことでしょう。
政治とカネの問題の説明責任について自ら問い直さないと、
復権のチャンスが巡ってきても、表舞台に立つのは厳しいと思います」
グチるのではなく、自分の敗戦ときちんと向き合うべきだろう。
「FRIDAY」2021年11月26日号より