当麻寺中之坊(奈良県葛城市)の弥勒(みろく)信仰を伝える掛け軸「絹本著色(けんぽんちゃくしょく)弥勒菩薩画像」(室町時代)の
「お身代わり」として、大分県の仏師が木造弥勒菩薩坐像を同坊に奉納した。
劣化防止のため掛け軸が非公開の期間も、年間を通じて拝むことができる。

当麻寺は飛鳥時代の創建時の本尊は弥勒仏坐像(国宝)だが、奈良時代に中将姫によって織り描かれたと伝わる、
阿弥陀如来を中心とする極楽浄土の曼荼羅が篤い信仰を集め、転写されて受け継がれた當麻曼荼羅が現在の本尊となっている。

阿弥陀信仰の聖地となってきた当麻寺だが、同寺最古の僧坊である中之坊では弥勒信仰も脈々と息づいていたことを、
弥勒菩薩画像の掛け軸は伝えているという。

ただ、掛け軸の公開期間は年間1〜2カ月間に限られるため、お身代わりの仏像が望まれていた。
檀信徒の縁で、大分県国東市で仏像彫刻工房を開く仏師の佐藤順教さんが3年をかけてクスノキ材で彫った。

中之坊の松村實昭院主は「掛け軸の品格のあるお姿がお身代わりの像に反映されている。
心を鎮めて衆生を救う弥勒菩薩を求め来られる方に、いつでも拝んでいただけるようになり、ありがたい」と話す。

https://www.sankei.com/article/20211122-YCJK3UQ4SVNWDBU3TKLEQU3SDU/