https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC040T50U1A101C2000000/
「減プラ」への有料化は慎重 ストロー、紙・木製に転換
プラスチックの使用削減を企業に促す「プラスチック資源循環促進法」の2022年4月施行を控え、小売りや外食チェーンが対応を急いでいる。ファミリーマートは柄に穴を空けたスプーンを導入し、スターバックスコーヒージャパンはストローすべてを紙製に切り替えた。有料化への動きは鈍いようで、紙や木製への転換などで「減プラ」を目指す企業が目立つ。
スプーンの柄に穴あけ、プラ削減
ファミリーマートの全国約1万6600店のコンビニエンスストアで新しいプラスチック製スプーンへの切り替えが9月に完了した。柄に穴を空けてプラスチック使用量を従来比12%減らした"減プラ"スプーンだ。
ファミリーマートは海洋プラスチックごみ問題への関心が高まった2019年ごろから、スプーンのプラスチック使用削減を検討してきた。柄を短くしたり、厚みを薄くしたりといった試作を重ねてきた。「使い勝手が変わらず、割れにくいことを重視して、柄に穴を空ける形状に行き着いた」（商品業務部の吉沢仁美氏）。
スプーンに続いて、柄に穴を空けたフォークも導入する方向で検討している。フォークはサラダやドリアなどを食べる際に力がかかるため割れやすいため、穴の形や大きさの設計が難しいという。それでも環境配慮への企業姿勢が問われるなか、実現に向けて試作を進めるという。
ファミリーマートはスプーンの柄に穴をあけた㊦
「レジ袋やスプーン、フォーク、ストローの削減に取り組んでおります。ご不要の場合はお声をかけていただきたくお願い申し上げます」。9日には、スプーンやフォークなどの辞退を呼び掛ける店内放送を始めた。
プラスチック資源循環促進法の22年4月施行を控え、小売りや外食チェーンのプラスチック削減の動きが加速している。
フォークやストロー、ヘアブラシやハンガーといった12品目を「特定プラスチック使用製品」に指定し、年間5トン以上取扱う小売業や飲食店、宿泊業などの事業者は使用量削減に向けた目標を定め、対策を講じる必要があるからだ。
小売りや外食、紙・木製への転換進む
スターバックスコーヒージャパンは9月、強度や耐久性を高めたフラペチーノ対応の紙ストローを導入し、すべてのストローを紙製に切り替えた。同社は20年1月から紙製ストローを提供してきた。素材変更で年2億本分のプラ製ストロー削減につながるとみている。
すかいらーくホールディングスは持ち帰りや宅配で提供するプラ製のスプーンやフォークなどを22年1月からすべて木製に切り替える。同様にドリンクバーや宅配などで使うストローは紙製にする。日本KFCホールディングスもプラ製マドラーを年内にも木製に切り替える方針だ。
総合スーパーを展開するイオンリテールは持ち帰りやイートイン向けに提供するプラ製ストローなどを紙・木製に切り替え、イオンモールなどの商業施設も20年夏までにプラ製ストローの提供を終了した。
コンビニでは、ミニストップが5月から代替品の実証実験を実施している。試験導入した木製スプーンは、熱いスープに長時間浸すと湾曲がとれてヘラのような形になってしまい、バイオプラスチックを使ったスプーンに切り替えた。
ローソンは8月からナチュラルローソンの一部店舗で、木製のスプーンを提供する実証実験を実施している。木製スプーンのコストはプラ製の約3倍のため、費用対効果などを見極めていく。
紙ストローは口触りがプラ製とは異なり、実際に使ってみて戸惑う消費者も少なくない。スターバックスは「共感も違和感も様々な意見をもらっている。今後も環境に配慮した素材を検討していく」。木製スプーンはプラ製に比べて湾曲が浅く、すくい上げられる量が少ないが、「苦情は一切ない」（ローソン）。
木製ストロー・スプーン「支持する」が7割
消費者は紙製のストローやスプーンへの切り替えを実際にどのように考えているのか。日経MJは12～13日に日経リサーチの「クイックサーベイ」を使って消費者アンケート調査を実施し、1246人（男性6398人、女性607人）から回答を得た。
プラ製ストローやスプーンなどを紙・木製に切り替えることについて聞いたところ、「不便だと感じず、支持する」との回答が41.7%に達した。「不便だと感じるが、支持する」（29.6%）を合わせると、約7割が紙・木製への切り替えを支持する考えを示した。
紙・木製ストローやフォークの使い心地は評価が分かれた。実際に使ったことのある人に感想を聞いたところ、「使い心地がよかった」は10.3%にとどまった。「どちらかといえばよかった」は14.4%で、使い心地を良いと感じる人は3割に満たなかった。
