(社説)米自動車関税 「撤廃前提」の答弁守れ
2021年11月25日 5時00分

 「自動車関税の撤廃は前提になっている」という政府の説明は何だったのか。「不平等条約」を隠す言い逃れであれば、看過できない。昨年1月に発効した日米貿易協定である。

 協定では、牛肉など農産品に日本が課す関税は、トランプ前米大統領が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)並みに下げられた。一方、TPPで撤廃が決まっていた米国の自動車関税は、関連文書に「撤廃に関してさらに交渉する」と記載されただけだ。

 当時の安倍首相らは「関税撤廃が前提」と繰り返し、国会承認を取りつけた。自動車関税は第2段階の交渉で実現する、というのが公式見解だった。

 合意から2年が経過したが、交渉は始まる気配すらない。それどころか、日米両政府は先週、新たな経済協議の枠組みを発足させ、自動車関税協議は事実上凍結した。朝日新聞の試算では、自動車関税が撤廃されなければ、日本の関税削減額は米国の4倍にのぼる。「日米双方にとってウィンウィン」とした当時の茂木敏充外相の説明の妥当性も問われよう。

※略※

https://www.asahi.com/articles/DA3S15122128.html?iref=comtop_Opinion_04