【独自】検察事務官、特捜部の書類変造…火災後に一部が焼け残って見つかる
2021/11/27 05:00
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 東京地検特捜部の捜査関係書類を変造したとして、同地検が担当の検察事務官を内規に基づく厳重注意処分としていたことが、法務・検察関係者らへの取材でわかった。書類の一部が今年8月に発生した火災後に庁舎内で見つかり、同地検が経緯を調べていた。

 同地検などの入る東京・霞が関の検察合同庁舎では、8月12日午後3時45分頃、9階にある特捜部の執務室の床に置かれていた電源タップから出火し、間もなく消し止められる火災が起きた。

 複数の法務・検察関係者によると、タップの近くからは、熱で溶けたクリップのほか、焼け残った捜査関係書類数枚や封筒が見つかった。書類は特捜部が民間企業に捜査照会した回答書の写しで、変造された痕跡が確認されたという。

 写しは元々数十枚あり、封筒に入れられて保管されていた。同地検は、特捜部に所属する複数の職員から聞き取りを行うなどして、経緯を調査。回答書に関する事務を担当していた検察事務官が、本来は照会先が押すはずの印影をコピーして自分で貼り付けるなど、書類の変造を認めたという。

 捜査照会の回答書は刑事裁判の証拠として使用されることもあるが、今回の写しは記録として特捜部内で保存するためのものだった。

 行使の目的で書類が変造された場合、私文書変造罪などに問われる可能性もあるが、同地検幹部は「今回は行使する目的はなく、犯罪の成立は認めがたいとの結論に至った」と説明。火災については、「失火や放火などあらゆる可能性を念頭に調査したが、人為的なものと疑うに足りる証拠はなかった」としている。

 同地検は事務官の処分や火災の詳しい原因を公表していない。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20211127-OYT1T50096/