「ゲイは高学歴だがレズビアンは低学歴になりやすい」という研究結果 米ノートルダム大

ゲイは高学歴な傾向にあるようです。

米国ノートルダム大学(UND)で行われた研究によれば、ゲイは高学歴になりやすい一方で、レズビアンは低学歴になりやすいことが統計的に示された、とのこと。

データは米国のものですが、性的指向が学歴に非常に大きな影響を与えているのは確かなようです。
しかしいったいどうしてゲイだと圧倒的に高学歴になるのでしょうか?
研究内容の詳細はプレプリントである『SOC ARXIV』で先行公開された後に学術雑誌『American Sociological Review』への掲載が受理されたとのこと。


■ゲイは高学歴だがレズビアンは低学歴になりやすい?

性的指向が学問や社会的地位に与える影響を調べる試みは、古くから行われていました。
しかし2009年に米国の高校で性的指向の調査が行われるようになった結果、大規模な調査が可能になり、興味深い傾向がみえてきました。
分析によって見えてきた最も顕著な部分は、ゲイの男性の学歴の際立った高さでした。
米国において大学卒業者は全成人の36%ですが、ゲイの男性の大学卒業者は52%にも及んでいたのです(※アメリカの大学は入学に価値はなく卒業が重要視される)。
またゲイの男性が大学より上の修士号や博士号といった学歴を持つ率は約6%にも及び、通常の男性の約4%と比べると1.5倍になっています。
またこれらゲイの男性の高学歴な傾向は、白人・黒人・ヒスパニック・アジア人など主要な人種の全てに当てはまりました。
この結果は、性的指向が同性愛である男性は、他の性的指向の人々に比べて高学歴であることを示します。

一方で、レズビアンの女性は反対の傾向にありました。
かつては、レズビアンの女性が高学歴な傾向にある時期もありましたが、現代の米国においてレズビアンの女性であることは学歴に不利にはたらくようです。
特に著しいのは高校の中退率でした。
現代の米国において、レズビアンの女性の高校中退率は通常の女性の2倍に及んでいたのです。
米国においてはこれまで、女性のほうが一般的に学業成績が高く、レズビアンであればさらに学歴が高くなる傾向がありましたが、大きな変化が起きていたようです。
しかし、いったいなぜ性的指向がここまで学歴に大きな差をうみだしたのでしょうか?


■承認欲求が学歴で満たされるかどうかは性別で違った

なぜ性的指向が学歴に大きな差をうみだしたのか?
これまでの性的指向とIQを調査した研究では、同性愛者と異性愛者の間に目だった差がないことが示されています。
また同性愛者になるか異性愛者になるかは豊かさや貧しさとはそれほど関係がありません。
つまりゲイの男性の学歴が高い場合、それは生まれつきの知能や両親の経済力とは関係が薄い、個人的な努力の結果と言えるでしょう。
問題は、なぜゲイの男性は学歴の獲得に努力を費やす傾向にあるかです。
研究者たちはこの疑問に対して、学問の成績は個人の努力でコントロール可能な領域であり、学問はゲイの男性の抑圧された承認願望を打ち込む先になった可能性が高い、とのこと。
しかし残念ながら現代の米国に生きるレズビアンの女性は、ゲイの男性のようにはいきませんでした。
その原因を研究者たちは、レズビアンの女性が高学歴になっても、承認欲求を周囲の社会が満たしてくれず、差別的な扱いが続くせいだと述べました。
どうやら性的マイノリティーの理解が高い米国でも、高校時代のレズビアンには強烈な色眼鏡がかけられたままのようです。
研究者たちは作られた性規範であるジェンダーと自らの性的指向であるセクシュアリティーは深く関与しており、LGBTQの学生たちのさらなる研究が必要であると述べています。
https://nazology.net/archives/100425