日銀、ETF購入急減 4〜9月2102億円 含み益は16兆円

日銀が26日発表した4〜9月期決算で、上場投資信託(ETF)の購入額は2102億円となり、前年同期から94%減った。株式市場が動揺したときに大規模に買い入れる方針へと3月に修正し、購入頻度が急減した。ETFの保有額(簿価)は36兆2751億円となり、含み益は16兆6200億円と過去最多を更新した。

9月末の総資産は前年同期比5%増の724兆円だった。ETFのほか、国債も購入が減っており、残高増のペースは鈍っている。日銀は2020年4月、「年間80兆円」としていた国債保有残高の増加額のめどを撤廃し、無制限に買えるようにした。ただ、長期金利に上昇圧力はあまりかかっておらず、日銀が大量の国債を買わなくとも長期金利を0%程度に誘導しやすくなっている。

民間企業の純利益にあたる剰余金は1兆529億円と前年同期より13%増え、上半期で最高となった。保有するETFの分配金収入が増えたほか、円安により外貨建て資産の損益が改善した。

日銀は地域金融機関向け支援策の実績も公表した。4〜9月期に上乗せ金利を与えた地方銀行は全体の8割強にあたる86行だった。信用金庫は142庫で、農・漁業協同組合などは300組織。支援策は経費削減など経営改善に取り組む地域金融機関に対し、日銀に預ける当座預金で年0.1%の金利を上乗せする。

多くの金融機関は、上半期末が迫る9月から支援が始まったため上乗せ金利の総額は49億円にとどまった。年間を通すと支払額は1000億円を越える可能性が高まっていたが、日銀は過度に支払いが増えるのを避けるため16日に支援策の見直しを決めた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB267580W1A121C2000000/