東京都千代田区の東京地検特捜部の事務室で今年8月に発生した火災の焼け跡から、変造された捜査書類の一部が見つかっていたことが関係者への取材で判明した。地検が調べたところ、事務官が書類の変造を認めたため、内規に基づく厳重注意処分とした。不審火の疑いも含めて調査したが、検察幹部は「人為的な発火ではない」と放火の可能性を否定している。

 特捜部の事務室では今年7月16日午後11時ごろと8月12日午後3時40分ごろに火災が相次いで発生。7月の火元は複数の事務官が共同で作業する地検10階の部屋で、パソコンや電源タップなどが燃えた。スプリンクラーが作動し、計8フロアが浸水するなどの被害が出た。8月の火元は地検9階にある検事の個室で、出火から10分ほどで消火したが、書類などが燃えた。いずれも消防が出動した。

 関係者によると、処分を受けた事務官はもともと10階の部屋で仕事をしていたが、7月の火災前後に特捜部内で配置換えが行われ、8月の火元となった検事の個室で立ち会い事務官として働くようになった。いずれの火災も電気コードがつながれた電源付近から出火していたことから、地検は電気系統のトラブルの可能性が高いと判断した。

 2回目の火災は電源タップが火元で、この事務官が作成した捜査書類が封筒に入れられた状態で、クリップとともに付近で燃えていた。地検が燃え残りを調べたところ、書類の体裁に本来とは違う部分が見つかったという。事務官は書類の変造を認める一方、火災への関与は否定。変造は捜査の内容を変えるほどの重大性はなく、事務官は業務を効率的に行うためだったと説明したとみられる。

 事務官は10月に別の部署に異動した。検察幹部は「消防の調査を受け、いずれの火災も不審火の可能性はないと判断した」と話した。

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