感染症で社会が分断されてしまう―。コロナ禍の35年前、同じことがこの日本で起きていた。

〈神戸で女性エイズ患者〉〈厚生省認定日本人初の異性間交渉発病〉〈数年間売春重ねる〉〈29歳二次感染強く懸念〉

これは'87年1月18日付の神戸新聞朝刊の大見出しだ。厚生省はこの前日、日本人女性初となるエイズ患者が神戸市で確認されたと発表していた。
全国紙も同様にセンセーショナルに報じている。

〈初の日本女性エイズ患者神戸の29歳100人以上と”交渉”〉(読売新聞)
〈一線超えた”特殊な病気”エイズに女性患者地元は予防PRへ〉(朝日新聞)

初めての女性エイズ患者は売春をしていた―。

現在の感覚からすれば、患者の個人情報があからさまに公開され、報道されること自体がありえない。しかも、それだけではなかった。
実は、これらの報道は「大誤報」だったのである。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/89799
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/89800