値上げラッシュ、上がらない賃金、倒産、失業…生活を脅かす「負のデータ」の数々
https://news.yahoo.co.jp/articles/4d49544d2ad19dd5e2a0cd12d48c7287f800af9d

新型コロナウイルスの感染者数はひところに比べ減少し、繁華街の人出は戻りつつある。リベンジ消費という言葉も登場するほどで、このままコロナ禍が落ち着けば景気回復の期待は高まる。だが、今秋は値上げラッシュのうえ、原油価格も高騰。そこに円安が重なり、輸入物価の上昇も懸念される。庶民生活は苦しくなるばかりだ。

■家計切迫 消費支出はマイナス続き

この秋、食料品が次々と値上げされた。マーガリンは4〜12%程度、和洋菓子が約7%、レギュラーコーヒーも20%前後アップしている。
ただでさえ家計は切迫し、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は減少。総務省の家計調査によると、直近統計の9月は26万5306円で前年に比べ実質1.9%減った。8月に続き2カ月連続のマイナスだ。
そこに値上げラッシュ。ようやく外出自粛から解放されそうだというのに、コロナ前より“物価上昇”だからたまらない。
ニッセイ基礎研究所金融研究部上席研究員の井出真吾氏は言う。
「実質的に物価は上昇している状況といえます。賃上げが伴えば、それほど問題ではありませんが、賃金アップは期待薄といえます」
ここ1、2年、賃金は上がっていない。それどころか、平均給与の推移にはガク然とする。戦後の高度経済成長期に月給は毎年1万円ほど上がっていた。バブル景気に沸いた80年代後半からもグッと伸びている。
民間給与実態統計調査(国税庁)によると、平均給与は1971年に105万7000円と初めて100万円を突破。4年後の75年に200万円を超え、その6年後の81年に300万円に達した。元号が平成に変わった89年に400万円に到達。この年の12月に日経平均株価は史上最高値の3万8915円をつけている。
平均給与のピークは1997年
平均給与の推移(C)日刊ゲンダイ
そこをピークに株価は下落していき、いまだ最高値を更新できていない。
「かつて日本株の時価総額は約600兆円あり、米市場の400兆円を上回っていました。日経平均が史上最高値をつけた89年当時、NYダウは2753ドルに過ぎませんでした。いまやNYダウは3万6000ドルを突破しています。当時のほぼ13倍です。ところが、日本株は89年の高値を更新できていません」(経済評論家の杉村富生氏)
そんな状況でも給与は上がっていった。97年に平均給与は467万3000円まで上昇。だが、ここをピークに2009年までほぼ一直線に下降していく。“失われた20年”だ(別表参照)。

■韓国より低い日本の賃金

13年からは上昇傾向となるが、19年に再び下落。昨年は433万1000円で、97年のピーク時には遠く及ばない。
「OECD(経済協力開発機構)が出している20年の年間平均賃金で日本は3万8515ドル(約439万円)です。アメリカは6万9392ドル(約791万円)。30年前と比べるとアメリカは48%増ですが、日本は4%増にすぎません」(杉村富生氏)
日本は、韓国の4万1960ドル(約478万円)やスロベニアの4万1445ドル(約472万円)、イスラエルの3万9322ドル(約448万円)より少ない。
昭和の高度経済成長期、そしてバブル期とサラリーマンは花形だった。しかし、平成不況に入ると格差は拡大していった。
上場企業の役員に“1億円プレーヤー”が続出する一方、サラリーマン給与は低迷。コロナ禍で外食業は大ピンチに陥り、倒産が続出した。東京商工リサーチによると、新型コロナの関連倒産は2420件(11月12日時点)。10月は過去最悪の164件を記録している。
「業種別で見ると飲食業が409件で最も多くなっています。次いで建設業の226件、ホテル・旅館も103件を数えます。緊急事態宣言が解除され、飲食業は一息ついたかもしれませんが、引き続きコロナ関連倒産は高水準で推移すると予想されます」(東京商工リサーチ関係者)
業績は悪くないのに希望退職者を募る大手企業が続出している。
「コロナ禍が落ち着いている今がリストラのチャンスだと判断しているようです。コロナ禍でリストラを実行するとイメージダウンにつながりかねません。だから、今なのです」(市場関係者)
実際、東京商工リサーチの調査では黒字企業の希望退職募集は27社(9月末時点)にのぼった。

■非正規社員の割合は40%へ上昇

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