海に放し飼いされた牛

−−欧米の中には、クジラを神聖視する向きもありますが。

「私は、クジラを魚だと思っています。私は、クジラを知性の高いほ乳類だという人たちの言うことが理解できないですね。私たちの理解とは合いません」

「だいぶ前ですが、ブエノスアイレスでの会議に参加した際、友人の案内で郊外をドライブしました。パンパという草原地帯に、牛がポツンポツンと(適正な頭数で)いるんです。牧場主は、増えた分を減らして、そうやって暮らしていると聞きました。いまの捕鯨は、まさに海に放し飼いされた牛ではないかと思うんです。クジラも海のプランクトンや魚を食べて増えていく。適当な数を間引いているのが現在の捕鯨ではないかと思うんですよ。以来、私は『クジラは海に放し飼いにされた牛である』と言っています」

 「放牧された牛や捕鯨されるクジラは、普段は自由に暮らしていてたまたま運の悪い奴が、交通事故に遭うような確率で人間に捕まるわけです。圧倒的に大多数のクジラは、その一生をまっとうするのです。僕は、自由なクジラの方が幸せだと思いますよ」

https://www.sankei.com/article/20191126-BEJHLLGOS5MMLNW5SHKEZV354E/2/