トラブル続きの四国電・伊方原発3号機が再稼働 1年11カ月ぶり

 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町、出力89万キロワット)が2日、約1年11カ月ぶりに再稼働した。
定期検査のため2019年12月に運転を停止し、当初は3カ月ほどで送電を再開する予定だったが、トラブルやミスなどが相次ぎ、長期間止まったままだった。これで全国で稼働中の原発は5原発8基となった。

 四電によると、運転員が原子炉内で燃料の核分裂反応を抑えていた制御棒を炉心から引き抜き、原子炉を起動させた。
燃料157体(新燃料41体、再使用116体)のうち、5体がウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料でプルサーマル発電となる。6日に送電を開始し、22年1月4日に営業運転に移行する予定。

 伊方3号機を巡っては、定期検査に入った直後の20年1月、制御棒を誤って引き抜くなどわずか1カ月間にトラブルが4件相次ぎ、定期検査は約半年中断。
同月には広島高裁が運転差し止めを命じる仮処分決定を出した(後に異議審で取り消し)。21年3月以降はテロ対策施設の完成遅れにより、再稼働ができない状態になった。
7月には社員(当時)が宿直勤務中に無断外出していたことが発覚。10月12日に再稼働させる計画だったが、再延期を余儀なくされた。

 中村時広知事は11月19日、四電の再発防止策を妥当とし再稼働を了承したが、長井啓介社長に「管理体制への不安はかなり大きい」と懸念を直接伝えた。さらに、地震と火山の噴火のリスクを抱えているため、住民らによる運転差し止め訴訟も続いている。
相次ぐトラブルで「県民の信頼は失墜した」(中村知事)状態にあり、四電には再発防止と安全運転を通じた信頼回復が求められている。【中川祐一】

https://mainichi.jp/articles/20211202/k00/00m/040/201000c

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