その一方で、ソフトバンクは報酬をめぐって重要な幹部を失う危機に直面している。12月3日午後に掲載されたニューヨーク・タイムズの記事によると、ソフトバンク創業者兼CEOである孫正義氏の右腕だと広く信じられているソフトバンクの最高執行責任者Marcelo Claure(マルセロ・クラウレ)氏は、報酬をめぐって会社との長期戦に巻き込まれているという。

実際、タイムズ紙の取材に応じた4人の関係者によると、クラウレ氏は今後数年間で報酬20億ドル(約2256億円)という要求が通らなければ、ソフトバンクを辞める覚悟だ。ソフトバンクは、その代わりにせいぜい数千万ドル(数十億円)程度の報酬を考えているようだ。

さらなる詳細を求められたソフトバンクの広報担当者は、次のような声明を送ってきた。「ソフトバンクとマルセロ・クラウレ氏は、当社でのクラウレ氏の役割と報酬について積極的に話し合っています。マルセロはソフトバンクの重要な幹部であり、2017年の入社以来、多くの重要な取り組みをサポートしてきました。ソフトバンクはこの件についてこれ以上コメントするつもりはありません」。

ソフトバンクにとっては大きな損失となりそうだ。クラウレ氏は同社のために多くの役割を担っている。例えばAdam Neumann(アダム・ニューマン)氏を追い出した後のWeWorkの暫定CEOを務め、現CEOのSandeep Mathrani(サンディープ・マトラニ)氏の採用にも貢献した。クラウレ氏はまた、多様性に焦点を当てたSoftBank Opportunity FundとSoftBank Latin America Fundという2つの組織のトップでもある。これらの組織は、最近のソフトバンクの大型投資のほとんどを担っている(TechCrunchは9月のDisruptでクラウレ氏にソフトバンクの積極的な中南米戦略について話を聞いた)。

同氏はまた、ソフトバンクから離脱する多くの人の中で最も注目される人物の1人だ。今月初め、Bloombergは、ソフトバンクの報酬に対する「風変わりな」アプローチ(同規模のライバル企業よりもはるかに少ない報酬)が、2020年3月以降の7人のマネージングパートナーの辞任につながったと指摘し、唯一のシニアマネージングパートナーであるDeep Nishar(ディープ・二シャール)氏は先週、General Catalystにマネージングディレクターとして入社することを発表した。

ソフトバンクは悪化の事態から立ち直ってきたが、現在は特に脆弱なようだ。先週、孫氏はソフトバンクグループが中国政府のハイテク産業の取り締まりで500億ドル(約5兆6400億円)超の損失を出したことを明らかにし、同社の株価は大幅に下落している。この2つの新たな、そして非常に公然とした動きによって、同社に対する投資家の信頼を高めることはより困難になりそうだ。

https://jp.techcrunch.com/2021/12/05/2021-12-03-at-softbank-bad-week/